三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

映画「Flee」

2022年06月15日 | 映画・舞台・コンサート
 映画「Flee」を観た。
株式会社トランスフォーマー

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 逃げるという選択は苦しいものだ。逃げるの対義語が追う、挑む、立ち向かう、といったポジティブな言葉だけに、逃げることは如何にも否定的に感じられてしまう。
 説明責任から逃げてばかりの政治家は、たしかに見苦しい。悪事を働いても、嘘を吐き公文書を偽造して逃げ切る。そんな人間が道徳を正規の科目にして愛国心を説いたり、防衛費の倍増を主張したりする姿を見ると、吐き気がする。この国は終わったと思う。自分が政治家だったら決して逃げないと考えたりもする。
 
 しかし危険が迫っている状況から逃げるのは当然の行動だ。津波や洪水が来たら、誰でも逃げる。人災も自然災害と同じだ。迫害する者や服従を強いる者から逃げることは、否定されるべきではない。むしろ積極的に逃げるべきだと思う。
 最近の日本語には、ブラックという便利な言葉が出来た。ブラック企業という言葉が最初だが、ブラック部活といった使い方もする。個人の尊厳や人権を侵害するような組織をブラックと呼ぶ。国家などの共同体についても使える。日本はややブラック程度だが、アフガニスタンはどう考えてもブラック国家だ。
 
 共同体がブラックになるのは、指導者が強制的にそうする面もあるが、大半は共同体の住民が、個人よりも共同体を優先することを受け入れるからである。ナチスを生んだのはドイツ国民だ。ヒトラーに熱狂した。日本の軍事政権を生んだのも日本国民である。日の丸に熱狂して、国や天皇を否定する人を非国民と呼んで迫害した。
 国家主義の熱狂は恐ろしい。ガンバレニッポンの精神は戦時中とそっくりだ。敗戦から77年を経て、戦争の悲惨さを忘れた政治家は軍事費を倍にしろとか、台湾有事に備えろなどと吠えている。日本は再び愚かな戦争に突き進むのか。
 
 国家がブラックだったら他の国に逃げ出すしかない。この世の中がブラックだと知ったら、この世から去るしかない。タイトルの「Flee」は「逃げる」という英語だが、より強い意味の「逃亡する」で使われる。Flee from the Black.

映画「ウェイ・ダウン」

2022年06月15日 | 映画・舞台・コンサート
 映画「ウェイ・ダウン」を観た。
映画『ウェイ・ダウン』公式サイト|6月10日公開

映画『ウェイ・ダウン』公式サイト|6月10日公開

映画『ウェイ・ダウン』公式サイト|6月10日公開|フレディ・ハイモア主演で放つタイムリミット・エンターテインメント!

https://klockworx-v.com/waydown/

 政府というのは腹立たしい存在である。国家公務員の中には自分が国民のためではなく国家のために働いていると勘違いしている人間がいて、国民から国家を守るような行動を取る。または国民の財産を奪おうとする。役人が、国民が主権の民主主義を忘れて、国家が主権の国家主義に舵を取ってしまったら、その国は暗黒の国になる。ブラック企業と同じで、ブラック国家だ。
 残念なことに、世界の国々は大抵がブラック国家である。日本も例外ではない。ディスクロージャー(情報開示)が基本の公文書でさえ、黒塗りで公開する。文字通りのブラック国家だ。国民から国家を守ろうとする役人の姿勢の典型である。

 本作品は、そういう役人たちによって奪われた財宝を取り返す話で、アメリカ映画みたいな政府のエージェントみたいな主人公と違って、反体制、反権力という意味でかなり痛快だ。エンタテインメントだから深い世界観はないが、ハラハラするし、どんでん返しもある。稀代の天才的頭脳の持ち主であるトムをリクルートするやり方も面白い。スペイン映画はハリウッドのB級映画よりもずっといい。