三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

映画「ブレット・トレイン」

2022年09月06日 | 映画・舞台・コンサート
 映画「ブレット・トレイン」を観た。
映画『ブレット・トレイン』 9月1日(木)全国の映画館で公開 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

映画『ブレット・トレイン』 9月1日(木)全国の映画館で公開 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

世界で最も運の悪い殺し屋レディバグ(ブラッド・ピット)に襲い掛かる、<東京発>超高速列車での人生最悪な120分間!

映画『ブレット・トレイン』 9月1日(木)全国の映画館で公開 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

 

 寺山修司作詞、田中未知作曲の「時には母のない子のように」が流れる。カルメン・マキが歌う、当方としてはとても好きな歌のひとつである。疾走する特急を舞台にしたアクション映画でこの歌が使われたことに、新鮮な驚きがあった。その使われ方はある種のシャレだが、悪い印象ではない。

 
 ブラッド・ピットの演じるレディバグが自嘲気味の世界観を披露して、このトーンが作品全体の底流となっている。俺たちはなんと浅ましくてくだらないことに命をかけているんだという、諦観のようなものが共有されているのだ。そこに加えて、復讐や権力闘争を笑い飛ばす精神がある。凄惨な現場から遊離してしまいそうな精神を、真田広之のエルダーが繋ぎ留める。このあたりのパワーバランスが絶妙で、無理なく物語が進む。
 
 フラッシュバックのネタバラシが登場人物の背景を埋め、現在のベクトルとなるから、わかりやすいストーリーが更にわかりやすく、感情移入しやすくもなる。計算され尽くした展開だ。アクション映画としてもコメディ映画としても、とてもよくできている。ラストもスピーディに進んで爽快なエンディングとなる。いやあ、面白かった。