映画「スーパー30 アーナンド先生の教室」を観た。
インド映画は何がなんでもダンスシーンを入れないと気が済まないようだ。本作品にもノリのいいダンスシーンが登場するが、驚くことにその内のひとつはストーリーに重大な影響を及ぼす。こういう仕掛けはボリウッドの得意技で、流石としか言いようがない。
インドは共和国で民主主義の憲法を制定しているが、国民の8割はヒンドゥー教徒で、カースト制度に強く縛られている。アンタッチャブルの家に生まれたら社会的に上位の職業に就けないし、階級を超えての婚姻は難しい。そのあたりは同じインド映画の「Sir」(邦題「あなたの名前を呼べたなら」)に詳しく描かれていた。
本作品はそんなアンタッチャブルの生まれでも努力すればのし上がれるという、言わばインディアンドリームの映画である。日本のテレビドラマ「ドラゴン桜」に似たところもある。つまり本質的には「水戸黄門」や「ドクターX」みたいなお約束のストーリーだ。
バラク・オバマなどのアメリカ人が、本作品のモデルとなった私塾を高く評価したのも、さもありなんだ。カースト制度に切り込むこともなく、人生の真実は何もないが、エンタテインメントとしては結構楽しめる作品である。