日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

読書・津村節子「絹扇」&堂場瞬一

2006-03-31 | 読書
 3月の読書は3冊で終った。

月初めに天童荒太「包帯クラブ」(既に4日に書いた)
続けて堂場瞬一の刑事鳴沢了シリーズ「帰郷」
中旬に津村節子「絹扇」
その後が続かずに今月も終る。

「帰郷」は鳴沢の疎遠だった父親が亡くなり、
故郷新潟に帰っている折りの事件
父親が解決しながらも追跡していた事件を
否応もなく追わされている内に父親との葛藤がとけた??
相変わらずの一気読みで
一月もするとストーリーや感想を忘れてしまう。
まあミステリーはいいか・・

津村節子は以前愛読をしていたが
ミステリー一辺倒にシフトしてしまいご無沙汰だった。
「絹扇」は表紙が奇麗なのと
腰巻の「この穏やかで、緩やかで、
   温かい語り言葉で、
   包みこまれた庶民の生活の豊饒さであろう・・・」で
つい買ってしまった。
結果は満足
貧しさと女であるがゆえに学校に行けない美貌の主人公の物語。
しかしそこは津村節子
しっかりした心根と働き者の「ちよ」が骨身をおしまず働き
思い掛けない玉の輿に乗りながらも
自分を見失わない、賢い女性。
現代と違って女性蔑視の中でも優しく健気に生きる。
それでも苦難が押し掛け、助けがありそうな結末。

絹糸を布にする機織りの世界
そこで思い出していた。

子供のころ近くの農家の副業が養蚕だった。
蚕を育て繭から糸を引きだす作業や
小さく巻かれた糸を大きな束にする作業を
飽きずに眺めていたっけ。
桑取りの手伝いや、糸巻きを手伝ったこともあった。
あの働き者のおばさんはどうしているだろうか?
この主人公の「千代」さんのように働き者だったに違いない。

昔の人は骨身を惜しまなかった。
一生懸命朝早くから夜遅くまで働いても、
豊かにはなれないけれど
気持ちにゆとりがあって、幸せだったみたいだ。
皆、豊かになって、
贅沢が出来るようになって、
良いものが安く買えるようになって、
それでもどんどん「幸せ」が遠のく気がする。
「幸せだ」と思う人が減ったような気がする。

人間、変にユトリガあってはいけないのかもしれない・・
コマネズミのように動き回って、気がついたら死の床
なんてのがいいのかも・・
ぼんやり好きの私には無理・・
コメント
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