日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

「夕萩心中」黒地に白萩・ぴったりな物語

2007-06-30 | 読書
今年の読書数は低迷している。
1月は6冊を読破、快調に見えたものの今月は2冊に留まる。
ジョン・クリードの「ブラック・ドック」
ミステリーと言うよりバリバリのハードボイルド
中年元諜報員のイヤイヤながら引きずり込まれる国家犯罪物語の部類

6月最後の今日読んだ連城三紀彦「夕萩心中」



久々の連城作品だ。
連城三紀彦と言えば何と言っても「変調二人羽織」
ミステリーの最高傑作の一つ
お客の目の前で落語の二人羽織を演じている最中に殺される
ずいぶん前に読んだがもう一度読み返したい。

文庫本「夕萩心中」は中編が4編収められている。
明治の雰囲気を良く出している3作品と
連城作品にしてはコミカルな現代物
「陽だまり課事件簿」
新聞社の窓際課のデコボコスタッフが意に反して(?)事件を解決する
軽い気分の探偵物
テレビ放映されそうなシリーズ物

連城作品の本領「花緋文字」「夕萩心中」
時代の薄明かりを感じさせる情感的な展開
しかし、心中と見せかけてそこには連城三紀彦のレトリック
美しい(?)だけの心中ではなく、ただの死ではなく
作為に満ちた結末に導く
表紙の黒地に白萩
まことにぴったりな物語だ。
連城三紀彦
コメント
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