日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

垣根涼介著「月は怒らない」

2014-06-10 | 読書
このところ本を積んどくばかりで読まなかったが
一月半振りに熱中した。

垣根涼介著「月は怒らない」集英社文庫



垣根涼介は昨年の人生教習所に続く数冊目

カバー裏には
チンピラ、大学生、警察官が共通の女の家に通っている・・
ロクデナシたちの生き様を描いた・・とある。

どんな、見境のない女か?
どんなろくでなし達か?

読み進むと市役所職員の極目立たない、地味な女性
母親を見捨て投げやりな毎日を送るチンピラ
祖父に育てられた、腕に自信ありの大学生
妻とは上手く行かない交番詰めの警察官

それぞれのポジションでそこそこ真面目に生きて
女性の元に時々通うのが生き甲斐

悩む女性が一人だけと絞った相手は?
驚きの結末だが

短期記憶障害(小川洋子「博士の愛した数式」を思い出す)の
学識豊かそうな老人の登場と女性の会話に横から眺めている「男」
(謎の男は謎に終るが)

ロクデナシ男3人が救いを求める女性
女性が救いを求めたのは老人とロクデナシの一人

ロクデナシ4人は子供の頃のどうしようもない孤独感を闇に抱えていた。

このところ痛ましい子供の事故が報道される。
幼い子供より他の事に関心を持ち、子供をないがしろにする親
子供は自分が地球の中心的存在と思う
せめて、親の心に中心に居させたい。
そうでなければ、自分の存在感を見いだせない。

貧しくとも、カツカツ食べられる環境でも
親が見ていてくれれば、立派に生きていける。
(片親だろうとロクデナシの親だろうと・・と思う)

ロクデナシの親元で育ったロクデナシ4人

ビックリする結末だが、ホノボノ温かい気持ちになる。

ロクデナシでも自分さえあればやっていけると思わせる一冊です。
(誰だって自分の中にロクデナシを抱えているし・・)

垣根涼介自身の「あとがき」も
悩みのあとやおとぼけがジンワリ出ていて、
あとがきまで面白い1冊でした。
コメント
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