日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

坂東眞砂子著「くちぬい」

2014-06-21 | 読書
今年の1月に亡くなった作家坂東眞砂子著「くちぬい」
集英社文庫2014.05月刊



夫の定年退職後に東京から高知の山奥に犬連れで移住した夫婦
狭い集落の一角に土地を買いログハウスを建て
老人ばかりの村に溶け込もうとし
共同の草刈りに精を出したりする。

夫の趣味の焼き物の穴窯を建てた事で
陰湿な嫌がらせをされる様になる。

穴窯の場所が「赤線」にあると難癖をつけられる。
赤線は山奥のお宮さんへ続く大事な道・・だが
林道が出来た事で実際は使われていない。

なのに、裏山の草を狩るのに、赤線を通ったり
台風の日に山から引く水のパイプを切られたり
災難が続き出す。

最後に村人に追いつめられ・・・殺されそうになり
大いなるどんでん返しと続く。

村人は容易に心を開かないくせに(?)
家にはズンズン入り込む(?)

ジワジワと追いつめられる恐怖と
東京には戻れない切迫感


物語が終った後の「特別収録エッセイ--口を縫う歴史」
著者の文章
坂東眞砂子は高知生まれ、奈良の大学に行き、東京で暮らし
再び高知県に戻った。

生まれ育った田舎とは違って今や高齢の人々
素朴な働き者の反面、陰口、悪口、苛めが潜んでいる。
(若い頃には気付かなかっただけだろうが)
「くちぬいは」体験に基づいたフィクションだが

坂東眞砂子氏は若干55歳で亡くなった。
・・まさか、小説を地で行った訳では・・?
コメント
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