日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

内館牧子著「終った人」

2018-05-24 | 読書
先週読み終えた本、内館牧子著「終った人」講談社文庫 2018年刊



3年前に単行本が出版された当時から関心があった。

「終った人」なんて言葉が刺激的だが
読んで見ると可成りの人に取って当事者たり得るお話し。

東大卒、都市銀行の役員寸前迄行き、中小企業の社長で定年退職となった。
体力に自信あり、プライドは社長のままの63才
妻は専業主婦から美容師として働くようになり
夫になんかにかまっていられない。

スポーツジムに行き出すが、仲間を作れないし
ジムに通う人達を自分と同等と認めたくない。
かといって妻の関心を引く努力もしたくないけれど
妻の無関心には気付く繊細さを持つが、どうしようもなく
生き甲斐も無いし、居場所も作れない。

「定年って、生前葬だな」で始まる物語

若い人と恋愛をしている気分にもなるが
相手はされても、お友達の域を出ない。

それでも少しずつ,仲間が出来
ヒョンな事から仕事に発展し、社長業に付く事となった。

忙しく働き、趣味も恋愛も家庭さえも必要と無くなった、
やりがい・生き甲斐のある1年を手に入れたのもつかの間
全てがゴワサンになり
家庭から、妻から、仕事から卒業し
無事「成仏」して田舎に帰る。

「終れない人」から「終った人」に着地する物語。

ズンズンとエリート人生を歩んできた壮介と
天と地とも違う私だが、「そう・そう」頷いてしまう。
多くの人に読まれて共感された所以ではある。

間もなく館ひろし主演で映画が公開されるが
「成仏」した人や「成仏」出来ない人
「成仏予備軍」がこぞって映画館入りする事でしょう。

たぶん壮介ほど「成仏」仕切れていないし、帰る田舎も無い当方は
無事「卒業」する為、「成仏」する為に
部屋を気持ちの良い空間に改造する日々です。
コメント
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