日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

桐野夏生著「ジオラマ」

2012-06-12 | 読書
以前読んだ本なのにまた買ってしまった一冊
新潮文庫「ジオラマ」桐野夏生著

  

1999年単行本になり、2001年文庫化されたので
10年くらい前に読んでいたのかもしれない。

9編からなる短編集

もう一度読んでみるとリアルに憶えているのと
全く初めて読んでいる気になる部分があった。

一編目の「デッドガール」は憶えていた。
昼間は事務所で働き,夜は売春をしている女
客と喧嘩をしながらも抜け出せない捨て鉢な生活

数日前東電OL殺人事件の控訴審の結果が出て
犯人とされていたネパール人が釈放された事件と似ているが
事件が起きたのが1997年、著作のきっかけになったのかもしれない。
キャリアの東電OLと違い、倦怠感とやけっぱち感が付きまとうが
ラストはかなりこわい・・

表題にもなった「ジオラマ」これも憶えていた。
生真面目に生きている銀行員
社宅を出てマンション暮らしになり
妻の知らない面を知り、
階下の知らない派手な女の家に入り浸る事になる。

チャンチャンと暮らしていた筈の銀行員のたがが狂いだし
銀行は潰れるわ、再就職は決まらないわ
ジオラマのように俯瞰視しながらも
地獄を予感しながらも抜け出せない・・

倦怠感、捨て鉢
人はあり地獄に落ちないように働き
たがを嵌めながら暮らしている。
たがをきつく締めれば締めるほど、
たがが外れた時のひどさ、やり切れなさ

ネパール人も家族のたがと心のたがが緩んだ隙に(たぶん)
落ち入ったあり地獄
とんだ罪をしょわされてしまった。


東電のキャリアOLをほっておかずに
真の犯人を突き止めなくてはならない。
冤罪をなくさなくてはならない。

とんだ読後感になってしまいました。

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