日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

堂場瞬一「断絶」

2011-08-02 | 読書
堂場瞬一著「断絶」中央公論新社刊
昨夜読み終えた一冊

東京から特急で1時間程度の地方都市「汐灘サーガ(物語)」の第二弾
前作の「長き飴の烙印」で始まった地方都市は
何とはなしに静岡辺りと想像していたが
上野から1時間なら「水戸」あたりだろうか?



海岸で銃で死亡した女性の遺体
身元が分からないまま、自殺と決めて捜査中止の指示が出る。
中年刑事石神は納得出来ないまま極秘捜査に出る。

一方家業となった衆議院議員の劔持は汐灘の名士
個人よりも汐灘の利益を優先してきた議員の後継者を指名すべく
悩みが尽きない日々。
議員個人の友情と口外出来ない秘密

元汐灘市のナンバー3の地位にあった父親を持つ石神刑事
大嫌いな東京に手がかりを探しに出っ張る

仕事上の顔と個人生活の顔
夫々の顔を交差させつつ物語の収束に進む。

堂場瞬一ほど警察の物語を事実に即し(知らないので多分)
リアルに書き進めた作家は始めてだと思うが
「断絶」は議員の私的役目もリアルに「そうだったのか」納得させられる。

物語は読み手の思う方向に着々と進むが
最後に逆転一発も用意されている。
堂場瞬一の刑事物の中でもピカッと光る本になっている。

巻末の解説は池上冬樹/文芸評論家
解説文もピカイチ
読者が(私が)気付かない所を補足し
作家の知らない点を教えてくれる。
最初に読んでも,最後に読んでも本文にチャチをいれない賢明さが
「解説」として感心した。

解説までシッカリ読まれることをお勧めする
超特級の文庫本です。

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