魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

カザリキュウセン

2022年07月21日 11時27分44秒 | 魚紹介

今回は2020年に沖縄・石垣島で釣れた魚をご紹介。スズキ目・ベラ亜目・ベラ科・ホンベラ属のカザリキュウセン。

 

石垣島で釣りあげたカザリキュウセンは雌である。一般的にベラの仲間は幼魚や雌は地味で、雄が派手、というパターンが多いのだがこのカザリキュウセンは雌でも派手な色彩である。雄の成魚は体高が高くみえ色彩もさらに派手である。カザリキュウセンの背鰭にはこのような眼状斑がある。この眼状斑の中心に青色斑が入ることもある。体側のオレンジ色の縦帯も美しい。

カザリキュウセンの雌の尾鰭にはこのように赤い模様が入っている。雄にも赤い模様が入っているが、雄は尾鰭の中央部に黒色斑が入るところが異なる。

しかしこれほど派手な色彩をしているのに、海の中では地味なように思えるから不思議なものである。ただし釣りあげたときや水槽の中では非常に派手なものである。観賞魚としてもよさそうであるが、成魚は15cmくらいになり、遊泳力もかなり強いので飼育には大きな水槽がいるだろう。また甲殻類は好んで餌にしてしまうのでこれらの生き物とは飼えないし、夜間砂に潜るので水槽底面には砂を敷く必要があるなど気をつかうべき点が多い。

分布域は琉球列島、西-中央太平洋(ハワイ諸島などにはいない)、オーストラリア北岸である。日本における分布域は琉球列島以南であるが、まれに和歌山県串本などでも採集されることがある。Rudie Kuiterのベラ図鑑では高知県産の個体の写真も掲載されている。なおカザリキュウセンはインド洋には分布しておらず、同地にはフロリクラスHalichoeres chrysotaenia (Bleeker, 1853)という近縁種が知られている。フロリクラスはカザリキュウセンに酷似するが尾鰭の色彩が斑点状になるなどの点で異なるようだ。

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アオブダイ

2022年07月20日 10時29分51秒 | 魚紹介

今回は2019年に購入した魚をご紹介。スズキ目・ベラ亜目・ブダイ科のアオブダイ。

アオブダイはアオブダイ属の中では珍しく、分布域が温帯に偏っている。本州~九州までの太平洋岸、山口県沿岸、九州北岸、伊豆諸島、屋久島、トカラ列島に生息しているが、琉球列島ではほとんど見られない。海外での分布も朝鮮半島沿岸、済州島、台湾、香港、中国南部沿岸などで温帯の種といえるだろう。

写真の個体には大きなコブがあるが、コブがあっても雄とは限らない。とされていたが、書籍によってはコブは雄相の特徴、との記述も見られる。また雄は頭部などに緑色の不定形な斑紋が出るので雌と見分けやすい。大きいオウムのような歯をもつため、ブダイ類は英語で「Parrotfish」と呼ばれる。なお標準和名で「オウムブダイ」というのも知られている。私はオウムブダイを釣ったことはないのだが、喜界島ではふつうに見られるブダイだという。

マリンワールド海の中道のアオブダイ

雌や若魚は鰭が青白く縁どられていたり、白い点があることなどが特徴だ。コツさえつかめば決して難しくはないかもしれないが、最初のうちは難しいかも。写真の個体はやせているので当時はナガブダイだと思っていたが、詳しく調べるとアオブダイであるとわかった。

アオブダイの幼魚と思われたが違うかもしれない

幼魚の同定は非常に難しい。夏の終わりから秋にかけて千葉県以南の太平洋岸でブダイ類が見られるが、このアオブダイは体側に白い縦線があることと胸部の黄色の模様で見分けることができる、とされている。しかし見分けは困難だ。分子分類を用いてブダイの幼魚と成魚の一致ができればわかりやすいかもしれないが。写真の個体はアオブダイの幼魚と思い採集したのだが、どうも違うように思われる。同定できるステージまで育つ前にほかの魚につつかれて死んでしまった。この科の幼魚はほかの種との混泳には向いていないところがある。ブダイやヒブダイなども採集したことがあるが、これらもほかの魚との混泳に弱いように思われた。ブダイ類は夜は完全に眠ってしまうので、その際にほかの生き物に襲われてしまう、なんてこともあるのかもしれない。

パックに入っていたアオブダイの若い個体

アオブダイは食用とされることもあるが、長崎などで内臓、特に肝臓を食べたことにより中毒死した例もいくつか報告されている。パリトキシンによるものとされ、長崎県ではアオブダイだけでなくハコフグ科のウミスズメによる中毒例もある。パリトキシンはスナギンチャク類のある群の学名である。アオブダイもウミスズメもこのような生き物を摂取することで毒化するのだろう。ということはほかのブダイ類でも毒化するかもしれない。宇和海ではアオブダイの幼魚はたまに漁獲され、パックに入って売っていたこともある。ちなみに宇和島ではブダイ類は本種、ヒブダイ、ブダイの3種が見られる。ただし全国的には販売が自粛されていることも多く、購入することは難しい。なお琉球列島産のナンヨウブダイやハゲブダイなどはそのような自粛の対象にはなっていないのだが、肝臓が毒化するおそれがあるので肝臓は食べないほうがよいかもしれない。

今回の個体は石田拓治さんにお願いして送っていただいたもの。ありがとうございました。なお、この個体は食べてはいない。

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目標とステータス

2022年07月19日 22時01分54秒 | 魚類とインターネット
最近久しぶりに私が以前参加していた魚図鑑サイトを閲覧してみた。しかしながら、最近はどうも質の低下が著しいように思える。釣りや採集、水中写真、市場の魚もそれなりに投稿があるのだが、最近は熱帯魚屋で購入した魚や、水族館の魚も多く投稿されている。
かつてその魚図鑑サイトは高いステイタスを持っていた。誰でも投稿できていたのだが、水族館の魚については自主規制を敷いてそれを貫いていた。購入した観賞魚も同様である。しかし最近、特に私がはなれた年以降は一気に価値が急落した。というのも、収録種数1位を目指そうとして、水族館や博物館、購入した観賞魚も図鑑に入れようとしているからだ。目標は日本産魚種の全種収録というが、観賞魚や水族館の魚を収録することにより、逆にステイタスが落ちていく。
 
 
なぜステイタスが落ちるのかといえば、水族館や観賞魚は金さえあれば誰でも投稿でき、それがたくさん収録されていくと、なんでもありの安っぽいサイトになってしまう。
観賞魚については、自然界に存在しない模様の改良品種も多い。たとえば、キンギョは色や模様など様々だし、背鰭がなかったり頭にコブができていたり眼が突き出ていたりと、もとのギベリオブナからは想像できないほど形が変わってしまっている。ほかに其々別の魚を交配させた個体もいる。パロットファイヤーシクリッド、レッドテールタイガー、など。そんな人工交雑の魚を魚図鑑に掲載しても図鑑の品位が落ちるだけである。もちろん私はアマゾンの魚や、アフリカ、東南アジアの熱帯魚を拒否しているということではない。安易に購入した魚の投稿を認めるべきではないという話だ。一方、魚屋や魚市場で購入した魚を収録するのも問題あるのではないか、という声も聞こえてくるが、これらについては産地もしっかりしており、ペットショップで魚を購入するだけのものとは異なる。
 
さらに問題がありそうなのは、海外の魚を購入して、それを国内で採集した、と見せかけるという手法である。すでに疑わしいものを数件確認している。これは論文などで公表された場合は最悪、詐欺にあたる可能性も出てくる。そんなことがあればステイタスどころか、信用をなくすのでサイト消滅の危険がある。
 
なおこの魚図鑑サイトに対しては意見することは許されないし、そもそもできない。というのも意見をしようとするとすぐにブロックしてくるからである。TwitterもFacebookもその関連コミュニティさえもブロックするという徹底ぶりはある意味素晴らしいものがある。もっとも、そのおかげで私はもう二度とあのサイトに戻ることはない、と決意を明確にすることもできるのだが。
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イシガケチョウ

2022年07月18日 21時23分31秒 | 昆虫・クモ

石垣島で撮影したイシガケチョウ。イシガキチョウともいうらしい。あまり多くの個体数は見たことがないチョウではあるが、沖縄だけでなく四国でも見ている。琉球列島だけでなく、西日本に多くみられるようだ。模様が特徴的な美しいチョウである。

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世界ヘビの日

2022年07月17日 08時59分13秒 | 両生・爬虫類

7月16日は「世界ヘビの日」だったらしい。最近ヘビをなかなか見なくなった。シマヘビやアオダイショウもなかなか見なくなったような気がする。なお、魚類のウミヘビは色々見ている。去年はムラサキウミヘビとミナミホタテウミヘビという、新しいウミヘビ科の魚に恵まれたシーズンであった。なお、写真のヘビは近所で捕まえたのではなく、東京のイベントで購入してきたボールパイソンさん。なお、はじめてヘビを飼うならペットショップのCBモノがおすすめだという。餌になれるのが早いからだそうだ。

ここで私とヘビの思い出。

●アオダイショウ:小学2年生のころに実家の畑のそばにある林で日向ぼっこをしていた。黒く光っていて格好良かった。最近は住宅地周辺の林でやはり日向ぼっこをしているところを見た。ネズミをよく食べてくれるヘビで、昔から人家の周辺にいたようだ。

●シマヘビ:河川や田んぼの周辺で多数みている。縞模様が特徴で個人的にも一番好きなヘビだが、熊谷で咬まれたのもこのヘビである。

●ヤマカガシ:小学3年生のときに群馬県のキャンプ場で発見。河川を渡る姿を見たが大変に美しい。

●ニホンマムシ:河川敷で拝見した。アオダイショウとは明らかに異なる模様をしていた。

●シロマダラ:ひかれた死骸を見た。かわいそうに。

●サキシママダラ:石垣島の河川のそばで夜間に見た。見た目は完全にハブだったので焦ったが本種とわかりホッとした。ちなみにハブにはいまだに遭遇したことがない。

 

 

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