政治の劣化もここまでくると、もはや喜劇である。ただただ嗤うしかない。民主党代表選で、政策論争を期待する向きもあるみたいだが、もはや国民は、誰も信用していないのではないか。小沢一郎は菅直人を官僚の手先だと決め付けている。一方の菅は菅で、小沢がダーティであると攻撃している。本人たちは、そうしたネガティブキャンペーンで、相手を圧倒できると思っているに違いない。情けない話である。そこまで言うのであれば、一緒の党にいることが間違いなのである。「今さら言うなよ」と野次りたくなる。党の綱領もなく、選挙に勝つためだけの政党だから、野合していただけなのだろう。共通していたのは、反自民という一点だけだったのだろう。しかし、この国はどうかしている。国民が無方針、無節操の政党に政権を委ねたわけだから。もうここまでくれば、自民党政権時代に戻りたいというのが、本音ではなかろうか。政権交代さえすれば、景気は良くなるし、自殺者も減ると言って回った連中は、今回の民主党代表選を見て、恥ずかしくないのだろうか。江藤淳は、平成6年1月号の「諸君!」で、とんでもなく恐ろしい予言をしていた。「君主制であれ民主制であれ、あらゆる制度が常に崩壊の危機をはらんでいるということに、平成5年の日本人はまだ気がついていない」と嘆いて見せたからだ。そして、本当のパニックにならなければ、日本人は目覚めないとまで言い切ったのである。その予言通りであれば、もっともっとおぞましいことが、次々と起こるのだろうか。民主党政権の誕生によって、その崩壊の危機が現実のものとなってきており、保守派の力が試されるのは、まさしくこれからなのである。
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