小沢一郎を支持しているのは、小室直樹のエピゴーネンが応援しているからだという人がいる。江藤淳の次は小室なのである。しかし、破天荒な学者であった小室は、もともとは会津人なのである。栗本慎一郎あたりがシティボーイと位置づけたのは、とんでもない勘違いだ。たまたま東京で生まれただけなのである。会津高校を卒業しており、その当時は頭を坊さんのように剃って、そこにメンタムを塗っていたという逸話の持主だ。渡部恒三とは無二の親友で、その意味でも、小沢をヨイショするような学者ではない。ただし、田中角栄を弁護したことで知られ、テレビに一緒に出演していた小沢遼子を、エキサイトして足蹴りしたという武勇伝も語り継がれている。小室が学者としてデビューしたのは、岩波の「思想」に「危機の構造」という論文を掲載してからだ。そして、昭和55年に『ソビエト帝国の崩壊』で言論界にデビューし、一躍売れっ子になったのである。思想的には「急性アノミー」という概念を定義し、それによってソビエトを分析し、崩壊が間近いことを予言したのだった。その核心部分は「カリスマ的指導者は絶対に否定されてならない。もし否定されたが最後、濃硫酸をかけられた鉄のように、鉄の団結はたちまちボロボロになる。これが急性アノミーである」と書いたのだった。ここにきて小沢も、女性問題や金のことで神話が崩れてきている。本人が裸の王様になっているだけで、本当はボロボロではなかろうか。つまり、小室はソビエトの崩壊だけでなく、民主党の崩壊までも予言していたのである。その小室が去る9日に死去した。巨星落つという思いがしてならなかった。もう何十年も前になるだろうが、会津高校の同窓会で、講演者として壇上に立ったのに、その前に酔っ払ってしまって、台無しになったことがあった。そこでは会津藩の教学について語ることになっていただけに、残念でならなかったのを覚えている。今となっては、ただ冥福を祈るだけである。
↑
会津っぽに応援のクリックをお願いします