政治家が今こそ心に銘記すべきは、政治は倫理ではないということだ。岩波文庫のマックス・ヴェーバーの『職業としての政治』を翻訳した脇圭平は、あとがきのなかで、そこで書かれている要点を解説している。わずかな行数であるが、全ていいつくされているような気がしてならない。政治家を志すのであれば、その言葉を厳粛に受け止めるべきだろう▼「キリスト教的絶対真理と相容れない政治の世界に身を投じた者が魂の救いまで期待することは許されない。目的と手段の緊張関係は、ここでは他のどんな生活領域におけるより厳しい。善からは善のみが生ずるといまだに信じている者がいるとすれば、それこそ政治のイロハもわきまえない政治的未熟児である」と断言しながら、「政治の論理がしょせん悪をなす倫理であることを痛切に感じながら、『それにもかかわらず!』と言い切る自信のある人間だけが、政治への『天職』をもつーこうヴェーバーは結んでいる」というのだ▼思いが純粋であれば、結果はどうなってもいいというのは、政治では通用しない。平和を声高に叫ぶ者たちが、結果的には中共の日本侵略に手を貸している。日本のリベラルが駄目なのは、現実を直視する勇気がないからだ。かつてない危機が日本を脅かそうとしている。政治家はあくまでも結果責任なのである。
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