草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

議会制民主主義の弱点を補うのが日本民族特有の歴史的伝統だ!

2020年07月31日 | 思想家

我が国は議会制民主主義を採用している。絶対的なイデオロギーを信奉するのではなく、様々な政治的な立場を認め、それぞれが切磋琢磨することで、国民のニーズに応えようとする相対主義の立場である。世の中は刻々と動いており、国民の利害も一様ではない。それを調整するにはもっとも適した政治制度だといわれている▼その一方で、議会制民主主義にも弱点がある。一時的なムードに煽られて、とんでもない選択を国民がする場合があるからだ。ドイツでナチスが権力を握ったのは、合法的な選挙を通じてであった。その点を私たちは忘れてはならない。尾高朝雄は「民主主義の政治決定を左右する『数』の契機をば、内容の如何にかかわらない、単なる『数』のままに放任して置かないで、その『質』を不断に向上させ、多数で決定したことができるだけ正しい立法意志の理念に合致するように仕向けて行くより外に道はない」(『法の究極にあるもの』)と書いた▼「普遍的な正しい政治の矩を天皇の大御心という特殊な形で把握してきた」(『同』)というのが日本民族特有の歴史的な伝統であり、それが日本人の質を保ってきたのである。多数決を重視するにしても、国柄としてのノモスの支配の意味を、もう一度私たちは思い起すべきなのである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする