ライブ インテリジェンス アカデミー(LIA)

日本の伝統文化の情報を国内外に配信していくための団体です。 その活動を通じ世界の人々と繋がっていく為の広報サービスです。

時系列で紹介している水墨画の絵師とその作品 【日本の水墨画-人物Ⅰ-】

2023-09-08 13:22:18 | 絵画

図書館でおもしろそうな本を見つけた。「日本の水墨画3『人物』」という書籍(B5判)。表紙がインパクトのある雪舟が画いた「慧可断臂図(えかだんぴず)」の部分と、そして裏表紙が、雪舟とは対称的な白隠慧鶴(はくいんえかく)の「鼠大黒図」の部分が全面に載っている。

本書籍には、室町時代から明治時代、大正時代、昭和初期まで活躍した雪舟等楊をはじめとする32人の水墨画絵師の主な画が時系列よって紹介されている。

 

そのなかから少し紹介すると、装飾的な絵画様式を打ち出した狩野派の中からは狩野元信の「豊干・寒山拾得図」や探幽の「竹林七賢・香山九老図屏風」、「風神雷神図屏風」、そして安信、典信の画が紹介されている。

また、異色の道釈画では二天一流の宮本武蔵の「布袋図」が目を惹いた。さらに達磨・布袋図などの祖師といわれている白隠慧鶴や、悟りの境地を機知に富んだ筆で描いている仙厓義梵(せんがいぎぼん)の画など私的に興味がそそられた。

 

江戸時代の中期に入り、日本の水墨画に新たな息吹を吹き込んだ与謝蕪村や池大雅などの文人画家や南画家の水墨画も目を見張るものがあった。そのなかでも円山応挙の「布袋図」は写実的で笑顔と太鼓腹の親しみが伝わり魅了される。

最後に江戸後期から大正・昭和にかけて活躍した富岡鉄斎、そして最後が横山大観の画で締めくくられている。

水墨画という分野に絞って後世に名を馳せる絵師や画を時系列で紹介している。水墨画の好きな方には実におもしろいお薦めの一冊に違いないと思う。

 

 

表紙

 

 

裏表紙

 

リポート/ 渡邉雄二

参考書籍/ 日本の水墨画3人物 (発行:河出書房新社)

 

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広重の気品と叙情あふれる浮世絵風景画 [神戸ファッション美術館-浮世絵II]

2023-08-09 09:35:58 | 絵画

江戸時代後期に「東海道五拾三次」などを発表し人気を博した浮世絵師、歌川広重(初代)。日本各地の風景を気品と叙情あふれる独特のタッチで表現。浮世絵風景画を確立した。

 

広重や葛飾北斎などの、世界に誇る日本独特の浮世絵は今の劇画やアニメーションの大きな礎になり、日本の細やかな詩情絵画が世界にも大いに影響を与えているのは間違いない。

 

 

東海道五拾三次 日本橋風景

 

東海道五拾三次 袋井-茶屋図

 

東海道五拾三次 庄野-白雨

 

東海道五拾三次 吉田-豊川橋

 

富士三十六景 駿遠-大井川

 

 

作品/   神戸ファッション美術館展覧会

 

リポート&写真/   渡邉雄二

 

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京の「扇絵」、江戸の「浮世絵」が庶民文化を形成

2023-07-16 16:17:17 | 絵画

最近、たて続けに京都の「細見美術館」と、神戸の「神戸ファッション美術館」へ行った。

細見美術館は琳派第23弾となる「琳派の扇絵と涼の美」と題し、細見コレクションを中心に、扇絵・団扇絵や夏の草花図や秋草図などの展覧会。一方、神戸ファッション美術館では、浮世絵にみる江戸っ子スタイル「花のお江戸ライフ」を楽しませてもらった。

 

扇や団扇は、江戸時代の中期頃から京都の庶民の身近な調度品として親しまれていた。その扇や団扇などに描かれている絵を楽しむ文化が広がっていた。京都では、俵屋宗達が主人として切り盛りしていた「俵屋」が製造・販売する店として大変人気で高い評判を得ていたようである。

扇絵や団扇絵は、宗達を筆頭に尾形光琳、中村芳中、酒井抱一、鈴木其一らの著名な絵師も積極的に手掛け人気を博していたようだ。その琳派の絵師たちの扇絵などの展覧会が現在開催されている。

 

一方、江戸後期に江戸の庶民に親しまれたのが「浮世絵」である。庶民の関心を引くように浮世絵にも様々な主題が現れた。例えば旅行ブームを背景にして生まれた風景画をはじめ、旅、食、趣味といった今の我々の関心事と重なる主題で表現されている。

同展は、当時の江戸っ子が夢中になった様々なブームや日常の暮らしに寄り添った娯楽の数々(旅行・メイクアップ・ペット・グルメ・ガーデニング等)をキーワードにして、後期浮世絵画壇を代表する喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川広重をはじめ、歌川豊国、国貞などの浮世絵が展示されている。

 

江戸後期に地域は違うが庶民文化の形成に大きくかかわった京の「扇絵」、江戸の「浮世絵」。著名な絵師たちによる時代や文化を伝えるモノとして時代を席巻。絵を見ながらそれを読み解くのも楽しいものである。

 

 

 

 


リポート/ 渡邉雄二

 

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ティッシュペーパー1枚で千体を描く

2023-04-17 11:44:24 | 絵画

 

「紙こより画」ってご存じだろうか。

昨日、あるところでこの紙こより画家という中田伸吾さんという方と出会った。いままで聞いたことのない分野の絵画であるが、日本画として作家活動している。

筆の替わりにティッシュペーパーの先をこよりにして描く。筆では出せない柔らかな線が生まれる。思うようにならない線、意志に反する線が絵を作っていく。

 

数年前、中田さんはティッシュペーパー1枚で蓮華の子1000体に挑戦した。あのティッシュペーパーで、しかも1枚のみで1000体を描くのはどうみても不可能と思われる。しかしである、中田さんはそれを2時間半で描き上げたという。人間の力では到底成し遂げられないと思われることだった。

 

「私も不可能だと思いました。畳一畳ほどある大きな和紙に1枚のティッシュに念を込め、どうか、千体描かせてください」と言葉に出し紙に向かったという。

ところが、200体描いたところで、もう、これ以上は限界だと思ったそうだが、「どうか千体描かせてください」と再度念じた。それが通じたのか、不思議とこよりの先がピンとたつようになり動いていったという。

千体描くのに要した時間が2時間半、そして蓮華にピンクの色を入れる(筆を使用)のに2時間。5時間内で完成したことにも驚きである。

 

この絵は「天に奏でる蓮華の子・千」というタイトルがつけられている。蓮の花に乗った童子たちが清く、汚れのない心で、天に向かい奏でる姿ある。

阪神大震災への祈りと、亡き奥様への感謝をこめて描いた一枚の紙こより画である。

 

 

 

 

 

リポート&写真/ 渡邉雄二

 

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自然の大地に浮かぶ回転木馬 「伊藤弘之・私の視点5」展

2022-09-16 13:11:40 | 絵画

伊藤弘之先生の「私の視点5」が西宮市立北口ギャラリー第3展示室で18日(日)まで行われている。

 

 

今回の「視点5」ではアメリカ西部のグランドサークルの中にある自然の大地プライスキャニオンやグランドキャニオンの中に「メリーゴーラウンド」が幻想的な姿で浮かぶ。

そして一方では、日本の北の大地である「釧路湿原」の原野の中でキツネやフクロウと戯れる、メリーゴーランドから解き放たれた木馬が映し出されている作品が並ぶ。

共に大自然の中で浮かび上がる木馬の生き生きとした姿が印象的である。

 

伊藤先生の展覧会に伺うと、前回見た木馬たちの表情が違って見えてくる。同じ作品であっても時の経過やその時の空気感によってそう思うのだろう。さらに、描いたときの想いが伝わると、目の前にある絵に新しい息吹がふきこまれる。絵を前に立ち止まり語りかけると回転木馬が動き出すような気さえしてくる。

 

アメリカ・グランドキャニオンに映し出されるカルーセル

釧路湿原でキツネらと戯れる木馬

 

リポート&写真/ 渡邉雄二 

 

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