以前、夙川(兵庫県西宮市)の環境や魅力を促進させようと「夙川ソーシャルカレッジ」という文化活動をスタートさせた。その一幕を振り返り、当時、記事にした内容を改めて紹介しようと思っている。
10年前になるが、カレッジ第一弾として、夙川周辺にスタジオをもつハープ奏者の「摩寿意英子」さんのワークショップ「ハープに触ろう!」をテーマに開講した。
講師の摩寿意英子さんは、東京藝術大学日本画科を卒業後、ハープ奏者に転向。イタリア政府給費学生として,ローマのイタリア国立サンタ・チェチーリア音楽院ハープ科を最優秀の成績で卒業。帰国後,東京藝大大学院ハープ科修了し、国内外で演奏活動を精力的に開催されている。
とくにハープの歴史に精通されている方で、スタジオには年代や種類の異なるハープが並んでいる。
今回のワークショップでは、大人4人に加え可愛らしい4歳と2歳の女の子も参加してくれた。子どもたちは優しい音色と響く音に興味を示し、先生が指を添えて弦を奏でると目が輝いてくる。
一方、大人の目を惹いたのが、1760年代製のマリー・アントワネットの時代に造られ、当時実際に演奏されていたというハープ。そして紀元前2000年以上も前、メソポタミア文明時代にあったとされるハープの原型が中国シルクロードを渡り日本に入ってきた。そのハープの原型といわれている「箜篌(くご)」を復元したものが並んでいた。当時のもの(原型)は奈良の正倉院に収められている。
いまのハープの弦はガットだが、箜篌は絹の弦が使われている。それぞれが独特の音色である。演奏するテーマやステージによってハープを使い分け、西洋のクラシックならグランドハープ、西洋の歴史的意図を表現するにはマリー・アントワネットというように。
ハープのことに疎い門外漢の筆者でも感動させてもらった。とくに年代モノには使われた経緯や謂れがある。そのストーリーが音を通して伝えてられていく。
現代のハープと古代のハープ、そして18世紀のマリー・アントワネットのハープの音色を聴く演奏会を、ぜひ開催してみたいと思える、貴重なワークショップになった。
※2011年にスタートした「夙川ソーシャルカレッジ」の記事転載
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