掛軸などで鶴に梅、そこに人物が描かれていたら、その人は、中国・北宋時代の詩人「林和靖(りんわせい)」といっても過言ではない。それほど、林和靖は、鶴と梅との関係性が深い人なのである。
梅を妻とし鶴を子として西湖の孤山で暮らしていたといわれている。
その林和靖の生活ぶりが、「梅妻鶴子(ばいさいかくし)」という中国の四文字故事につながったといわれている。俗世を離れ、清らかで風流な隠棲生活をする人が、妻の代わりに梅を愛し子の代わりに鶴を愛で、一人清らかに暮らす様を表している。
掛軸(写真)に描かれている人物が林和靖といわれても、鶴と戯れる姿ではあるが肝心の梅が見当たらない。解説曰く、鶴も梅も両方描いたらどこにもある絵になってしまう。お軸の中に描かれていないから面白い。茶席ならお軸の横に梅の木を添えて風雅を楽しむのもひとつ。
今回は、梅の木がないので梅探しをしてみたが見当たらない。
さて、ここで漢詩をひも解くと
有梅無雪不精神
有雪無詩俗了人
薄暮詩成天又雪
興梅併作十分春
という詩がその席の片隅のボードに書かれてあった。よく見るとこの詩の中に、「梅」がある。掛軸では見当たらない梅が、茶席の片隅のボードの中にあった。これですべてが揃った。
こんな楽しみ方も乙なものである。
漢詩の訳は、
梅が咲いていても雪が降ってないと風景が生き生きとしたものにならない。
雪が積もっていても詩心がないようではせっかくの風景も平凡なものになってしまう。
夕暮れの時、詩ができ雪が降ってきた。梅と雪と詩を合わせると春の趣が十分に味わえる。
この写真は、雪に覆われる紅梅の美しさに惹かれ、林和靖の詩を思い出したので掲載した。
写真は、前回とおなじ、看月亭、閑雲庵のお宿のオーナー根岸良子さんが撮影した一枚
リポート&写真/ 渡邉雄二 梅の写真/ 根岸良子さん 掛軸/ 文人煎茶一茶庵所蔵
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