小雨の降る中、滋賀県の湖東になる東近江市と近江八幡市を訪れた。
最近、滋賀に縁があり、行く機会が増えている。
滋賀は、京都、奈良の伝統の美しさ、深さとは少し違う美しさや素朴さが育まれているような気がする。
それが町や村、そして風習、慣習、商い、人、自然などを通し身近に感じる土地柄のように思える。
その中でも「商い」は特筆するところがある。周知のとおり、滋賀・近江は有数な商人を輩出した地である。
そして、近江商人が築いた、日本を代表する企業が多いことでも有名である。
近江商人は、地元を活動の場とするのではなく、「行商」から始まり、
他府県に商いの活動拠点を形成していった。
その活動の拠点となったのが、当時の江戸・日本橋周辺、上方・本町周辺、京都などが
近江商人の活動の拠点として広がったようである。
その近江商人の根底に流れている商いの基本理念が「三方よし」。
この理念は、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」というシンボル的標語として用いられている。
大手総合商社の伊藤忠商事は、近江商人であった創業者である伊藤忠兵衛がその礎を築いた。
昨年(2020年4月1日)から経営理念を「豊かさを担う責任」(1992年に制定)から
近江商人の根底に流れる原点「三方よし」に改めた。
三方よしは、売り手よし、買い手よしは、双方とも満足する取引をして"よし"とし、そして、
もう一つの「世間よし」は、利益は世間のため、広く公共のために活用されるものだとしている。
この理念が近江商人の根底に流れているから、
地縁も血縁もない遠く離れたところで得意先を開拓していけたわけである。
日本の歴史、伝統文化の土台になり文化を形成していくうえで
欠かせない大きな要素一つになったのが「商人」である。それを紐解くのに外せないのが「近江商人」。
今回は、町を通して商売の源流をほんの少し知ることができた。
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