前回の「尾道・文化紀行」で「尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市尾道は日本遺産」という内容を紹介した。
尾道が日本遺産に認定されていることを最近まで知らなかった。
というよりは、日本遺産ついての知識がないのに等しいものであった。
ということで、遅ればせながら「日本遺産」について少し調べてみた。
日本遺産は文化庁の管轄で、地域に受け継がれている有形・無形のあらゆる文化財群を対象に
価値付けや保護を目的に平成27年4月に制定された。その第一号として、
「国境の島 壱岐・対馬・五島~古代からの架け橋~」というストーリーで認定されたのが長崎県壱岐島である。
尾道は、というと2017年に「尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市」として認定され、
現在では全国108カ所が日本遺産に登録されている。
認定されるもっとも大きな理由としては、文化庁のホームページによると、
「日本遺産(Japan Heritage)」は地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを
「日本遺産」として認定するものと記されている。
認定される最大の要因としては、その地域を語るうえで欠かせないポイント、
つまり魅力溢れる有形・無形の様々な文化遺産に相応しいストーリーが不可欠のようだ。
そしてその様々な文化財群を、地域が主体となって総合的に整備・活用し、
国内だけでなく海外へも戦略的に発信していくことにより、地域の活性化を図ることが目的と記されてあった。
日本遺産は、世界遺産の日本版のように思われるが少々違うようだ。
その違いというのは、世界遺産登録や文化財指定は、いずれも登録・指定される文化財(文化遺産)の価値付けを行い、
保護を担保することが目的である。
一方、日本遺産は地域に点在する遺産を「面」として活用し、
地域活性化を図ることを目的としている点が違うようだ。
認定にあたっては、
その地域(面)の歴史文化的ストーリーが認定の大きなカギになる。
そのストーリーは次の事項を踏まえた内容と定義されている。
・地域の風土に根ざし世代を超えて受け継がれている伝承、風習等を踏まえたストーリー
・そのストーリーの核になるのが、地域の魅力として発信する明確なテーマを設定の上、
建造物や遺跡・名勝地、祭りなど地域に根ざして継承・保存がされている文化財にまつわるものが据えられていること。
・単に地域の歴史や文化財の価値を解説するだけのものになってないこと
などが認定の大前提のようである。
日本遺産に認定されることで、対外的にはその地域が「日本遺産」というブランドとして価値付けに大きく貢献する。
それにより外へ向けての発信力が強くなるのは言うまでもない。
なによりも大きいのが、地域のコンセプトストーリーが明確になり、
その地域内の人々の意識向上に間違いなくつながっていく。
ただ、まだ「日本遺産」がハイクオリティとしてのブランドとして定着しているようには思えない。
歴史文化の宝庫である日本の文化遺産を国内で次世代を担う子供たちに広げていくことが、
何よりも肝要なことのように思えてならない。
リポート/ 渡邉雄二 写真 / 栗山主税・渡邉雄二
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