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糸切れて凧つかの間の川の上
宇宙誕生から150億年、地球誕生から40億年、人類誕生から30万年、キリストが生まれて2010年、私が生まれて何十年・・・・・
地球を含む銀河系には、2000億の星があり、その直径は10万光年・・・・・・・などと、時間や空間という不思議な宇宙の数字と遊ぶと、私という人間の存在の小ささが解るし、生活の中の一喜一憂に固執することなどは、ほとんど意味がないように思えてくる。
しかし、そういう微塵の世界に生きていることを認識してこそ、生きている本当の意味や尊さが分かってくるのではないだろうか。
私が生きていること、家族や友人と出会ったこと、道端の名もない草花とさえ、今ここでの出会いが奇跡であり、不思議な縁で結ばれていると思えてくる。
そして、この自然界の全ての存在に愛と慈しみを感じるようになる。この愛と慈しみが俳句創作の原点なのだ。そういう基本的な考え方に立って、これからも俳句を作っていきたいと思う。
この句は、川に落ちてゆく凧を、生きている自分と重ね合わせたものである。凧は、本来春の季語であるが、旧暦の1月は春なので、敢えて年賀状にこれを書いた。