一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

蕎麦喰らう主を睨む獅子頭      海人

2011年01月08日 | 新年

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蕎麦(そば)らう主を(にら)む獅子頭      海人 

 

 正月の獅子舞を見なくなって久しい。獅子頭は、木製で漆塗り。獅子頭の口が開閉しカタカタ鳴る。舞が終わると、その口がご祝儀を銜(くわ)える。獅子の体は、唐草模様の大布。笛や鉦もあったように記憶している。

 

獅子の主とは、勿論獅子頭を操る親方に違いない。獅子頭を外し、布を畳み、振舞われた蕎麦を啜っている獅子舞の二人を、少年がものの陰から覗いている。

 

「このおじさん達がやっていたのか」「あの蕎麦うまそうだなあ」

 

二人を睨んでいるのは、縁先に置かれた獅子頭ではあるが、怖がったり、驚いたり、がっかりしたり、羨ましがったり、本当に睨んでいるのは、少年時代の作者なのかもしれない。

 

兎に角、数十年前までこういう光景は、日本の津々浦々、山村で見ることができた。富山の薬売りなども、戦後の変化と共に消えて行ったものの一つ。

 

コメント (1)
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