著者は、元JAL のパイロットで航空評論家。 航空関係の本と言えば、航空理論、航空機本体や空港設備、航空会社のサービス等について書かれたものが多いが、それをどのように運行しているかについての本は少ない。この本では、普段あまり一般の搭乗者が気にすることが無い、航空会社のダイヤがどのように組まれているか、定時運行を阻害する様々な要因について、具体的な事例や著者の体験エピソードを踏まえながら解説する。
軌道を走る鉄道と違って、航空機には気象現象や空港の運用、航空協定や国の制度、運行ルールなど、安全性に影響を与える様々な要因が存在する。時刻表はあるけれど、これはあくまで 目安であり、その時刻に出発到着を保証するものではない。時間よりも安全性が優先される。その中で、パイロットを含む航空関係者が定時運行のために、ルート選択、高度調整、コストを考慮しながら、安全な定時運行に努力している。
これまで数多く搭乗してきたが、時々いつものルートと違っていたり、突然高度の上げ下げを行ったり、旋回を始めたりして疑問に思うことがあった。空の上での航空機の振る舞いには全て理由がある。今まで客として乗ってると気がつかないけれど、パイロットがどれほど複雑な手順を踏んで、運航調整を行っているかがわかった。
この本を読んでおけば、パイロットの意図が感じられ、空の旅も一層楽しくなると思う。