神が宿るところ

古社寺、磐座、不思議・パワースポット、古代史など極私的な興味の対象を見に行く

月水石神社

2020-11-07 23:14:21 | 神社
月水石神社(がっすいせきじんじゃ)。
場所:茨城県つくば市筑波。住所がはっきりせず、筑波と沼田との境界辺り。「飯名神社」(2020年10月17日記事)から北東へ約400mで神社入口。または、「筑波神社」一の鳥居から西へ約220m進んで、突き当りを北へ約150mで神社入口。舗装されているが、非常に狭い道路で、自動車で行くのはお勧めしない。参道入口から少し離れたところに駐車場あり(2台)。
創建年代は不明。祭神は石長比売命(イワナガヒメ)で、山の神である大山津見神(オオヤマツミ)の子神、木花之佐久夜毘売命(コノハナサクヤビメ)の姉神に当たる。「古事記」によれば、大山津見神は伊邪那岐命(イザナギ)・伊邪那岐命(イザナミ)の間に生まれたとされるので、「筑波山神社」の男女神からすれば、孫神ということになろう(なお、神名の表記はいずれも「古事記」による)。国津神である大山津見は、天孫である邇邇芸命(ニニギ)に対して石長比売と木花之佐久夜毘売の姉妹を嫁がせたが、石長比売は醜かったため、戻された。石長比売は長寿の、木花之佐久夜毘売は繁栄の象徴であったことから、天孫は栄えるが、短命となった、という話で、これは東南アジアやニューギニアを中心に世界各地に分布する「バナナ型神話」という起源神話の1つであるとされる。石長比売のその後は不明だが、当地の伝説によれば、石長比売は当地で亡くなり、当神社が祀る巨石は石長比売が化したものであるとされる。巨石に小さな丸い穴が開いているが、ここから月に一度、赤い水が流れるという。石長比売が元々、岩石の永遠性を象徴したものであるところから、御利益は不老長寿ということになるが、巨石の伝説から、婦人病や不妊に悩む女性の信仰が篤かったという。蛇足ながら、「筑波山」は他の霊山に比べて江戸に近く、登りやすい山でもあったことから、庶民の参詣が盛んになり、門前町には遊女屋もあった(蛇足の蛇足ながら、明治の文人・大町桂月は、紀行文に「筑波山神社の前には旅館は3軒しかないのに、妓楼は6軒ある。」というようなことを書いている。)。ここで働く遊女からの信仰が特に篤かったようである。


写真1:「月水石神社」入口。民家の裏手のようなところで、標柱がなければわからない。


写真2:参道の途中、「男女川(みなのがわ)」に架かる橋。


写真3:覆屋の下の社殿が見えてくる。社殿は南向き。


写真4:同上


写真5:同上


写真6:社殿に注意書きが...。寺院ではないので、菊などを供えるな、とか、樹木が枯れるから撒き塩をするな、とか。まあ、その通りですね。静かにお参りしましょう。


写真7:社殿の後ろの巨石。これを御神体として祀っていることは明らか。


写真8:巨石に小さな丸い穴が開いている。月に一度、ここから赤い水が流れるという。
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