眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

切断

2014-10-08 19:52:21 | 気ままなキーボード
 階段を少しだけ下りたところで電話をかけた。職場につながるはずが、再生されたのはスタンド・バイ・ミーだった。気を取り直してもう一度試みるが、今度はダウンタウンボーイが再生される。何度やっても、つながらない。もはや圏外に入っているのか。一曲ずつかけていたのでは効率が悪いので、シャッフル再生にすることにした。謝罪のための連絡に手間取っていては、ますます遅刻時間が長くなるだけだ。あきらめて階段を下りることにした。

 一番端の車両に乗り込んだ。車内は空いているのに、一座は運転席になだれ込んで騒いでいる。この路線では当たり前のことなのか、師走の勢いがそうさせるのか。半裸の男が酔っ払い女に絡んでいるのを、見ない振りをしながら車窓を眺めていた。ジョー(仮名)がやんわりと止めに入っている。その様子を少し頼もしく思いながら、川の向こうに突然現れた墓石を見送っていた。
 停車駅で女はホームへ降りたが男はまだ手を放さない。乗り込んでいる人たちともつれ合いながら妙な形になっている。
 私はふんわりと体を入れた。
(さあ離れな)
 2人の間を切った。

「まああんな女、飯食って逃げられるよ」
 ジョーがそう言って慰めている。
「そうだな」
 半裸の男の顔からは笑みが零れている。
 根はいい奴のようだ。
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サービスエース

2014-10-08 05:04:36 | ナノライト
すべて妖怪のせいにして
過酷な日々を乗り越える
君にもきっと退治できるよ
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右手の戸惑い

2014-10-08 04:35:50 | 折れた左とフリックの夏
キーボードの上に十指を置けば
何かに突き動かされるように
指は走り出してくれる
揺るぎのない信頼があった

今、ペンを握っただけの右手は
どこにも向かわない
初めて握る文房具の感触に
戸惑ったままだ
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みんな優しい

2014-10-08 01:54:15 | 夜のフットサル
 身を投げ出してシュートを狙いました。決まりさえすれば、最後は倒れていても構わないのです。そこで1回話は終わり、ゆっくり立ち上がって歩いて戻ればいいのでした。けれども、決まらなかった時は、倒れただけ手間です。早く立ち直って、急いで守備に戻らなければなりません。倒れなくてよい場面では倒れない方がいい。考えれば当たり前のようなことが、上手くできませんでした。きっと疲れていたというせいもあったと思います。シュートを打つ度に倒れ込み、その上、シュートはポストの横に逸れてしまったり、力なく転がってキーパーに取られてしまいました。せっかく素晴らしいパスをくれても、世界観をミスしたり、シュートを失敗したりの繰り返しです。

「ナイスシュート!」
 たとえ失敗しても、ちゃんと枠に飛んだし、あと一歩だった時は誰かが褒めてくれました。あまり感情を表すことの少ない、顔も座右の銘も知らないコサル人の中で、小さな一声が挫けそうな背中を押して、勇気を与えてくれるのでした。

 もう夜は最後だから、と頑張ってもう1点を取りに行く流れの中で、最後に自分の世界観がブレーキをかけてばかりです。ミスをして、ミスを繰り返して、もう今日は駄目なのかもしれない、と弱気になっている足元に、もう1度、味方がパスを通してくれます。なんて優しい人たちなのでしょうか。もう、世界観なんてしない。左足を振り抜くとゴール左隅に決まりました。
 夜も更けて、最後に自分が決められると、すごいやり切った感です。「ありがとう」
 動いても動いても回ってこない夜もあれば、失敗しても失敗してもチャンスを与えてもらえる夜もある。それがコサルなのかもしれません。

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