ゴールドマンは艶々として全身に虹がかかったように輝きとても綺麗に見えた。でも、課金されていたらどうしよう。
(稼げもしないのに、奪われるなんて)
ポップアップがしつこく開き続けて、いつまでも正しいログイン画面が見つけられないでいる内に牛の行列が始まり、ようやくそれが終わると今度はラクダが現れる。ラクダを7回消して……。
「私たちでも大変ね」
ログインの専門家がつぶやいた。普通の人なら、ラクダを7回消す頃には、もうすっかりと疲れ果ててしまって、冷静な判断もできなくなってしまうでしょう。でも、そんなことはほんの序の口に過ぎず、開くものを閉じ、邪魔者を消し、隠れた扉を開き、魔物を消して、捕らわれた生き物に光を当てて救い出さなければならない。彼女たちは、種々様々の敵と対し、あの手この手のトラップを打ち破るために、日々厳しい訓練を積んできたのだと言った。探し続けなければ、たった1つの道筋なんて、見つかるわけがない。
ようやくフレミングの新しい解釈と1つの絵を思いついた。
「さあ行こう!」という時になって、訪問者はやってきて、丼を3つ注文した。今更、そんなものを作る気にはなれないし、時間ももったいなかった。相方は、何も言わず途方に暮れている。僕はこの場から逃れるための言い訳をどうにかして考えなければならなかった。
「しかし、もうご飯がないんだよ」
と言って、釜を開けると意外にもご飯は、まだたっぷりとあるじゃないか。
「あるじゃないか!」
さあ、作れと3人は迫るようにそこに立っていた。確かにご飯はあるにはあるけれど、ご飯があるというだけなら、他の店に行った方がよほどちゃんとした物が食べれるというものだ。それもちゃんと言葉にして説明しなければ伝わらないのが、初対面というものなのかもしれない。
「しかし、丼と言ってもレトルトなんだよ」
と言って、実際にゴムで束ねられたレトルトパックを見せつけてやったが、驚いたことに彼らはそれでも怯まないのだった。家に帰って、自分で作ろうとは思わないのか不思議でならないが、ここまで来た流れや勢いを大事にする者たちなのかもしれない。どうやら味だけを求めてここに来たわけではないようだ。攻め方を変えなければならない。
「しかし、器がばらばらになっちゃうよ」
同じ柄の丼はなく、大きささえも不揃いの物しか置いてなかったのだ。
「ちっ!」
これにはたまらず態度を変えた。互いに顔を見合わせて、相談モードに入った。
「しっかりしろっ!」
と捨て台詞を残して、若者たちは帰っていった。
「さあ行こう!」
これでいよいよ本当の僕たちの冒険に出かけることができる。
支度を終えて、階段を駆け下りる。後ろから、相方の声が聞こえた。
「君はいつだってしっかりしているよ」
「言うなって。そういうこと」
歩道の上にエアースケボーで乗り出して、アイスコーヒーが入ったままのグラスを載せたまま滑走するトレイと併走していると、曲がり角から猫が飛び出してきた。
「危ない!」
その時、僕はあり得ない角度に体を曲げて猫を避けながら静止した。そのまましばらくは、絵のようになった。
「おー、ありえない角度!」
道行く人々が、賞賛の声を上げながら冒険者のすぐ傍を通り過ぎる。