昔々、あるところに芝刈り好きのおじいさんと、芝刈り好きのおじいさんを好きなおばあさんがいました。ある日、おじいさんは当然のように山に芝刈りに行くと、これでもかこれでもかと芝を刈りました。刈っても刈ってもおじいさんの好きはなくならず、むしろ膨らみつつあるほどでした。おばあさんは、山と反対に川に行きました。川に行くとおばあさんはいつものように洗濯に励み、汚れ物と向き合う内に自らの魂を清めました。
「お待たせいたしました」
一仕事終えたおばあさんにどこからともなくおやつが届けられました。
「ありがとう。ウーバーさん」
おばあさんは、洗濯板の上にフルーツの盛り合わせを広げました。オレンジかな、いちごかな、それともメロンかな。おばあさんは何から手をつけるか迷っていました。キウイかな、りんごかな、それともメロンかな。なかなか決まらずにいると上流から何かが流れてきます。
どんぶらこ♪
どんぶらこ♪
それは何やら巨大な贈り物のように見えました。
どんぶらこ♪
どんぶらこ♪
直前にまで迫ってくるとその巨大さにおばあさんは目を丸くしました。そして、おばあさんは盛り合わせの1つにフォークを刺すとゆっくりと自分の口に運びました。
「遺伝子をわるさした何かだろう」
どんぶらことあれは遠ざかっていきました。