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あなたは桂損についてどう考えるだろうか。まあたいしたことない。別にどうってことはないと考えるだろうか。実際、ちょっとした代償でもあれば、桂損でもバランスが取れているという局面は多い。だが、場合によっては、それが致命的な桂損になることもある。桂香というのは隅っこに配置されていて、すべての将棋において活躍することが望めるわけではない。居飛車対振り飛車の対抗形などでは、打ち込まれた大駒によって回収されてしまうことも少なくない。
損した桂によって銀桂交換を強いられる。今度はその銀によって角銀交換。まあ、「交換だよね」と甘く考えているといつの間にやら角損になっている。そんな経験はないだろうか。(駒損は拡大する場合がある)たかが桂損のはずが、気づいた時には大損になっている場合がある。駒の損得はプロでも最も重視される要素であるが、いくら駒得でも多くの駒が遊んでいては話にならないということもある。「終盤は駒の損得より速度」という格言もあって、難しいところである。
あなたは大きな駒得をして優勢を自覚した時、どのように考えるだろうか。例えば金1枚を得したとしよう。楽観的にみてもう半分勝ったような気分になる。さて、そこからどうやって勝ちに持って行くか。せっかくいい将棋なのだから、大事にしたいと思う。できるだけ安全に勝ちたいと願うのも自然なことだ。
得した金を自陣に埋めて堅さを主張する。あるいは、中盤の要所に置いて盤上を制圧する。そうした指し方が有効である場合もあるだろう。言わばそれは長期戦志向だ。(金持ち喧嘩せず。長くなれば徐々に戦力差が物を言う)
しかし、その判断が裏目に出ることもある。余裕を与えている間に戦力の補充・回復を許す。(長くなることでミスを重ね、差を詰められる)例えば、自分だけ歩切れでと金攻めをみせられている時など、とてもゆっくりできるとは思えない。
そこで「金持ち喧嘩せよ」の登場である。
これは全く逆を行く短期決戦志向と言える。
徐々に優勢を拡大していくとか、そういう生温い発想ではなく、突然勝ちに行くのだ。先に得をしているとするなら、1枚捨てても大きな損にならない。そう考えれば思い切った手段も選択肢に入る。普通は荒っぽい筋でも(先に得をしているのなら)十分に成立するかもしれない。
挽回する余裕を与えず、瞬間的なアドバンテージを生かして寄せに持ち込むのだ。駒得を広げる思想を放棄し、駒得から思い切って速度に転換させることで一気に勝ちを目指すのだ。(この方が切れ負け戦の戦術としても合っていると思う。長々と正解を積み重ねるのも大変)
駒損を回復しても(逆に駒損になっても)、寄っていればいいのだ。寄り形になっていてちゃんと足りていれば問題ない。
駒得=安全勝ちというビジョンの他に、
「駒得~捨て駒~寄せ」というパターンも持っておくと、勝ち方のバリエーションも広がっていく。
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