![]() | 事故がなくならない理由(わけ): 安全対策の落とし穴 (PHP新書) |
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この本、元JR総研で大学の心理学教授の方の著書である。交通事故対策を心理学の観点から科学的に解明している。紹介したいことがいくつもあるが、最後の部分が一番心に残ったので、その部分を書く。
著者の研究室ではいくつかの企業とタイアップしてある研究をしている。仕事の誇り(職業的自尊心)と安全行動がどのような関係にあるかを調べる研究だ。中間結果ではあるが、仕事の誇りは安全行動にプラスの影響を与えている結果が表れているそうだ。
職業的自制心は、仕事の技量を高めたいというタイプの業務意欲と安全態度を支え、ルールを破ってでも工程を守るというリスキーな行動を抑制し、様々な心理的要素を介して安全行動意図にプラスの影響を与えているそうだ。
思い当たることがある。私はサラリーマン時代、あるライフライン企業の安全運転管理者だった。所轄の警察の方の話によると、私の事業所は、ほかの企業と比べて、交通事故が群を抜いて少なかった。そして在籍二年で2回も警視庁から表彰を受けた。
当時、私は、会社の車は一目で、誰でも知ってる車のため、皆、安全運転をしているのだろうと漫然と思っていた。その原因が、仕事の誇り(職業的自尊心)にあるとしたら、対策は変わってくる。経営者は、従業員に対して仕事を褒め、社会に役立っている、ということを教えるのである。
この本、「事故がなくならない理由」、交通事故の対策をしている方、一読をお勧めします。