![]() |
アムンセンとスコット (本多勝一集) |
クリエーター情報なし | |
朝日新聞社 |
リーダーシップの研修の際に使っているネタがある。アムンゼンとスコットだ。第一次世界大戦のちょっと前に、南極の極点一番乗りを目指した、ノルウエーのアムンゼン隊とイギリスのスコット隊の物語だ。
アムンゼンは部下の意見をよく聞き、成功した。スコットはイギリスの軍人で、ライン組織らしく、部下に命令するタイプ。極点一番乗り競争に負け、最後は遭難してしまった。
部下から提案させ、部下に自主性を持たせ運営する方が、上司からいつも命令するより、リーダーとしては優れているというものだ。しかし、最近の説は、部下の成熟度によってリーダーシップは使い分けるべき、というのが現在の主流だ。私の研修でも同じ話をしている。
この本を読んで、定説と違う、オヤ、というのが出てきた。アムンゼンの隊は、出発時は犬が100匹以上いた。しかし帰った時は十数匹。どうしたことか、これは、隊の荷物の量が減るとともに、犬の食料も減らすために、弱った犬を殺して、残った犬に食べさせた、自分達も食べた。それを計画的に行っていたのだ。昨日まで自分たちのそりを引っ張ってくれていた犬を殺して食べるのだ。結構冷徹なリーダーシップだ。
一方、スコット。極点近くになって、アタック隊の人数を減らさないといけない事態になった。4人用のテントだから定員は4名。しかしスコットは、ちょっとした怪我をしているメンバーも入れた。5人だ。5人になると、寝るところや食料などいろいろ無理が出てくる。そして南極でのちょっとした怪我は、傷が大きくなり、他のメンバーに迷惑をかける。仮に歩けなくなると、その人を引っ張っていくことになり、隊に大きな負担がかかる。それでもスコットは、隊員の気持ちを優先して、極点まで連れていくという温情をかけた。これがのちに仇になる。
巷に言われている、アムンゼンとスコット、どちらも実際は違うリーダーシップを持っていた。
なお、この書籍の作者は、あの朝日新聞の本多勝一氏である。思想面ではいろいろ言われている方だが、物語は面白い。書籍は20年以上前の本で絶版になっている。私はAMAZONの中古を買った。アフィリイトに出しているものは多分、内容は同じでしょう。