私は、研修講師が主な仕事、そのうち今日は、労働安全衛生法で定める特別教育に準じた教育、「振動工具」のビデオ改訂のため収録を行った。
振動工具の健康障害は、いくつかあるが、白ろう病が典型だ。長く振動を受けると、指が白くなって、神経障害が起きる。写真はその例だ。
そのため、どの振動工具が、どのくらいの振動を生じるか、それは人体にどのように影響するレベルか、影響する場合の対策をどうするか、が特別教育になる。
振動は、とっつきにくいと言われるが、それは、振動は周波数、振幅などかならるサインカーブ、電気の交流などと同じだ。これを聞くと、受講生は、いやいや、わからんとなる。さらに工具から出る振動は、X、Y、Zの3軸で表されるため、その合成値を求めるのは、なおややこしい。
でもここは避けて通れない。工具によって、発生する振動の大きさは決まるから、メーカーのカタログなどから、予め計算された三軸の合成値(図参照)を入手する。
そして、その工具の三軸合成値からちょっとややこしい計算で、日振動ばく露量A(8)(単位は加速度)を求める、これをA(8) エーエイトという。これが求められたら、その工具が1日何時間使えるかがわかる。
エーエイトが規則の規制値以内ならいいが、規制値を超えると、対策が必要になる。作業時間の短縮や、低振動型工具の採用などだ。写真は、振動に対する防護手袋。
ということで、一般の作業員の方は、計算するほどまでの知識は必要ないが、作業マニュアルの作成補助や、作業の注意点などを学習する。教育受講は、合計4時間、実技はない。教育時間が不足すると、特別教育にはならないため、収録時間は、ストップウォッチで正確に測定する。
そして教育受講後、多い質問は、手持ちのこの工具が教育の対象になるかどうかだ。対象となる工具は、沢山あり、中には聞きなれないカタカナの名称の工具も多い。
特別教育の中では、振動工具は、受講生は比較的少なく、マイナーな教育だが、そのぶん研修講師も少ないようだ。