前の記事の続きを。
「乳酸」をどれだけ出せるかというのは大きなことだと思っています。「乳酸」=「悪者」というイメージもありますが、「大きな力を出す」ことができないと「乳酸」は生成されません。爆発的な力を出せる=高いパフォーマンスの発揮という感じになります。そうであれば「乳酸をたくさん出せる能力」というのも必要になります。乳酸が蓄積しないように「ミドルパワー」を上げるというのではなく、「ハイパワー」を出せる練習が必要になる。これが以前から書いている「練習パターン」について考える中で重要なことだと思っています。どうしてもそういう形の練習ができていない。「質」を上げることは効果はあると思う反面、「量が・・・」という考え方がどこかにあるのだと思います。
もう一つは「乳酸が蓄積した状態でどれだけ動けるか」も重要です。乳酸はできるだけ出したくない。でも出さないと「ハイパワー」の状態にならない。相反する部分ですが。今度は「どれだけ乳酸を出せるか」に加えて「どれだけ動けるか」が重要になります。乳酸が蓄積した状態でなければその練習はできません。が、これは精神的にも肉体的にもなかなか難しい部分だと思います。よほどの「覚悟」がなければ実施できない。特に女子は1本目から力を出すことができません。ここは難しいですが「やるぞ」という強い気持ちをもって取り組んでもらう必要がある。1本目で「爆発的に乳酸を蓄積させる」ことができて初めて「乳酸耐性を高める」ための練習ができるようになります。「乳酸耐性」を高めるためには筋肉内に「乳酸」が蓄積した状態でなければ効果はないので。
「乳酸を出す力」と「乳酸に耐える力」のどちらもが重要だと思っています。ここで「テンポ走」などになると「乳酸」が出るほどの「ハイパワー」にはなりません。8割で走って乳酸が蓄積することは考えられないからです。有酸素系の練習になる。そうであれば「ショートスプリント」の能力を上げるというのはつながらないかなと。もちろん、有酸素系の能力は重要です。回復させるためにはやはり心肺機能が強くなければいけない。乳酸の閾値を上げるためにも最大酸素摂取量は重要です。そのあたりはサーキット系の練習で負荷をかけてもらうしかないかなと。走りの中で「最大スピード」を上げていくためには「量」に頼った練習ではなく「質」を上げていく感覚が必要になるのではないか。そう考えています。
ひょっとしたらどこでもやっているかもしれない「当たり前の練習」かもしれません。それでも「意図的にやる」というのが重要だと思っています。何となくやる練習、最後まで持たせるだけの練習では「最大限の効果」は得られないと思っています。限られた時間の中でやっていく練習になるのであれば、「費用対効果」を考えて「狙い」「意図」のある練習にしていかなければいけないと思います。
そう考えて「20秒走」が適切かなと思って実施ました。150mでもいいのですが。「ATP-CP系」が10秒程度と言われています。「解糖系(乳酸系)」が30秒。もちろん、その間に完全な境目があるわけではありません。どちらもが導入されています。本当に「乳酸をためる」ための練習をしようと思ったら「40秒走」を全力で繰り返すほうが良いのかもしれません。が、この時点で「オールアウト」してしまったら「乳酸耐性」を高める練習ができません。1本で出し切って終わると「蓄積した状態で動く」というのができないからです。今更感はあると思います(笑)。自分が肌で感じた150mのMax5本のきつさは半端なかった。その短時間で出し切るのは高校生には難しいかなと思っています。特に女子には。そう考えて「ATP-CP系」の10秒と「解糖系」の10秒で「20秒」という都合のいい時間がいいかなと。
「20秒」であれば乳酸が蓄積しまくって動けなくなるということもそれほどないと思います。休息は5分として「血中乳酸濃度」が一番高くなる時間帯を選びました。前も書いたと思いますが「血中乳酸濃度」が高くなるということは「筋肉の中の乳酸」が血液中に出ているということです。そうなると「筋肉の中の乳酸」は減ってきています。だったら走れるのではないかという感じでしょうか。これは検証しているわけではないので勝手に私が思っています(笑)。10秒+10秒での20秒。20秒プラスするのは今回は避けておくべきだと思っています。ある程度の本数は消化しないと負荷をかけきれないので。
一気に負荷を増やすのは危険なので最初は「20秒走」を3本にしました。スタートの距離設定は「各自」で行わせます。どちらにしても「20秒間」走り続けるので距離は関係ない。ゴールしたら満足感もあるし目標設定としては頑張れるのである程度自分たちで決めるようにしています。乳酸の除去を考えないのであれば3分で回すともっと負荷は高まると思います。が、最大スピードが出せるかどうかというと難しくなるかなというのもあって休憩を5分にしているという側面もあります。
2回目は「20秒走×3本」を2セット。セット間は30分とりました。完全回復してからもう1回走るという感じです。このパターンにすると時間がかかります。休憩時間が必要になるからです。最終的には20秒走を5本1セットくらい走れると理想なのかなと思っています。一気に質を上げていくと身体も持ちません。精神的にもしんどくなります。そこも踏まえて「徐々に負荷を増やす」という形を選んでみました。インターハイまでの限られた時間の中で「スピード」と「乳酸耐性」を最大限に高めるためにという感じです。
乳酸が蓄積すると大変です。乳酸の除去のためには「酸素」が必要になります。そのため酸欠状態になると思います。それにも慣れていかないといけない。そうなるとやはり「有酸素能力」の向上も必要になる。様々な練習の中でバランスよく能力を高めていく必要があるのかなと。「テンポ走」がどのような位置付けて取り入れられているか。そこにどれだけの意味があるのか。ここは本当に重要なことだと思っています。意味があると思って導入するのであればそれは「正解」です。みんながやっているからという理由で導入するなら「間違い」だと思います。指導する側が「必要なこと」を取捨選択できるかどうか。その判断をするかどうか。
思うことはあります。というか、マニアックな話を書いていても誰も面白くないかもしれませんね。とはいえ、私は自分の頭の中の整理をするので必要なことかもしれないなと思っています。誰にも読んでもらえないかもしれませんが(笑)。また書けることを書いていこうと思います。