あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

勅使河原宏監督の「利休」を見て

2013-05-18 07:56:53 | Weblog


闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.453

野上弥生子の原作を赤瀬川原平が脚色し、武満徹が音楽をつけ三国連太郎が主演したああ堂々の歴史絵巻だ。

勅使河原宏という人は文芸物では安部公房の原作もの、音楽では朝比奈隆のブルックナー演奏のライヴ、SMポルノではなんちゃらかんちゃらという古今未曾有の最高傑作にして幻の名作を演出しているが、いずれも重厚長大で格調高い画面をつくるのが得意技だ。

本作では信長なきあと実力と自信をつけた成り上がり者の秀吉を山崎勉が好演し、終始緊張感を盛り上げている。弟子の山上宗二(井川比佐志)が秀吉に眼鼻を削がれたうえで斬首されたというエピソードも出てくるが、利休の娘が秀吉に「めかけ」になれと強要された話は出てこず、そのかわりに利休の妻(三田佳子)との関係が哀切に描かれている。

しかし監督の「おはこ」であるはずの朝顔などの挿花は、意外なことに詰まらなかった。時代と様式が違うから草月流の家元としてはおおいに戸惑ったのであろう。


「フランシス・ベーコンです!」と画家は答へたり「ローマです!」と答へしヘプバーンのやうに 蝶人
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする