
bowyow cine-archives vol.658
第2次世界大戦の一大メルクマールになったドイツ軍のソ連侵攻とその無残な末路を描くドイツ映画である。
イタリアのリゾートでの能天気な休暇が明けて一転して地獄の三丁目に突撃してゆくある小隊の兵士たちに焦点を当てつつ、この狂気の大作戦の愚かしさを描き出そう、という試みは分かるが、脚本の段階で作戦の全体像と彼らの戦闘の位置づけが曖昧模糊としている。
加えて演出の切れが悪いので地下水道での戦闘や戦車部隊との肉弾戦、敵軍の少年兵や女性兵士との挿話など印象に残るシーンもあるが「ともかく戦争は悲惨だ。もうこりごりだ」という次元でなんとなく話が終わってしまう。
まあそのお、その教訓じたいは実際その通りだし、それでいいといえばいいのだが、映画としての出来栄えはいまいち、いまに、いまさんなり。
されど「戦争できる国」を目指して大車輪の活動を展開している現政権のあほばか連中にはぜひみてほしい映画である。
なにゆえに戦争できる国を目指すのか戦争すれば悲惨な地獄が待ち構えているのに 蝶人