西暦2014年葉月蝶人狂言畸語輯&バガテル-そんな私のここだけの話op.185
延長45回でも決着しない軟式高校野球の準決勝戦。こういう試合こそ見たいのに、今日もどこを探してもやっていない。いかにメディアが駄目であるかのいい証拠だ。8/31
朝日新聞が長く吉田証言の虚偽を見抜けなかったことと、帝国陸海軍による慰安婦強制労働という歴史的事実とはなんの関係もない。自分が朝日の虚報に騙されていたので、あわよくば慰安婦労働強制と強制連行も無かったことにしよう、というのも太い料簡である。8/30
雨が降りしき中、ひとすじの光が差してくると、夏の終わりのセミたちは、ここを先途と命の限り鳴き叫んでいる。8/29
1897年2月、プルーストはドーデの次男(画家)との関係を誹謗されて作家ジャン・ロランとムードンの森で決闘した。8/21
今年1月に80歳で亡くなったアバドのベルリン・フィルによる追悼演奏を、ネットで聴く。ラトルのは黙祷もなく聴衆が拍手するという非常識なものだったが、2つ年下で同じスワロフスキー門下のズビン・メータによるマーラーの5番のアダージェットの演奏は真心が籠っていた。8/18
私たちが欲するのは、恣意的な自由、「してもしなくてもどちらでもよい」自由、「することもできるし、しないこともできる」自由である。加藤典洋「人類が永遠に続くのではないとしたら」8/19
関係の修復、信頼の創造、その根源に負債の支払いと贈与の用意がある。加藤典洋「人類が永遠に続くのではないとしたら」8/19
一度自転車に乗れるようになってしまうと、「乗れない」ことをできなくなる。西洋画のデッサンを学んだ江戸時代の絵師が日本画本来の描き方ができなくなるように。山口晃8/19
今朝逗子の海に泳ぎに行ったら、昔の静謐な浜辺が戻っていた。ヤクザの殺人事件が起こった去年とは大違い。巨大騒音音楽にうつつを抜かし、刺青を入れ、煙草を吸いまくって間接的に殺人毒素をまきちらすアホ馬鹿連中はみな鎌倉へ移動したようだ。8/24
遠藤健司の「夜汽車のブルース」こそは、ライヴの中のライヴというべきだろう。なにか面白いことはないかと思っている人には絶対のお勧め。8/16
世界とわれわれが再創造されるには、天気が変わるだけで充分なのだ。プルースト「失われた時を求めて」ゲルマントのほうⅢより(吉川一義訳)
大岡昇平によれば、ノーベル文学賞が三島と川端を殺した。ドナルド・キーン「自叙伝」
つひに無能無芸にして只此一筋に繋る。芭蕉の「笈の小文」
ロビン・ウイリアムズとローレン・バコール死す。2人とも良き俳優である前に良きアメリカ人であった。8/13
クラシック音楽の好みがどんどん変化してきて、いまやいちばん耳になじむのはスカルラッティとラモーの鍵盤音楽、次いでハイドンとモザール、バッハという順序になってしまった。
84歳で突如逝ってしまったマゼール。マーラー第3番の終楽章は凄かったが、どうも彼の音楽のつくりは人工的で好きになれない。人工的という点ではアーノンクールも小澤もバレンボイムも同じだ。
人工的でえぐい音楽をあまりしないヴェテラン指揮者といえば、ハイティンク、ムーティ、メータ、ヤンソンスくらいか。こういうほぼ同世代の人たちが死んだら私はもうCDなんか買わないだろうな。もっともその前にこっちが死ぬかも。
自己の外部を自己にとりこんで空想と仮託と修辞ででっちあげた塚本邦雄や寺山修司などの前衛的な短歌は、確かに短歌の領域を拡大することに成功したが、所詮は己との距離が遠すぎる「嘘」の歌だ。8/11
嘘の歌とほんとの歌。頭の中でひねくりまわして得られた秀歌よりも、実体験に基づく凡歌のほうに愛着がある。作品の文芸的価値はさておくとしても。8/10
第3次産業よりも第1次産業の従事者のほうが圧倒的に好きだ。8/9
中上健次も、作家より土方をやっていた頃のほうが幸福だったろう。8/8
問題は、いかにして方法的に制覇するかということだ。8/8
亡き母を詠んだ歌が東京歌壇の7月の月間賞に選ばれたので、文化部長さんが賞状と図書カードを送って下さった。賞状をもらうなんて初めてなので気恥ずかしいが嬉しい。やるね東京新聞。8/9
最後の試験に立ち会う。キャンパスではたくさんの蝉が鳴いていた。さらば文化、さらば新宿。8/8
国家といふのは無目的に存在してるものなんでせう。自然現象のように。丸谷才一「裏声で歌へ君が代」8/3
中国の政治が阿片戦争以後はともかく、それまではほかのどの国にも優っていたのは、官吏として社会的生活を営むうえでの「儒教」と隠者の生活を夢見る「老荘」の2つの原理の使い分けという方法のおかげであった。丸谷才一「裏声で歌へ君が代」8/3
危険だか脱法ドラックなんかなくとも、この猛暑の夏なら十二分にトリップすることができる。8/2
へたくそなヘアメイクが、いかに女優やタレントのイメージを損なってしまうか。その好例が悪名高きフジテレビの昼ドラ「碧の海」の奥菜恵である。番組自体も最悪だけど、奥菜恵ファンとしては残念。8/1
なにゆえに普通の人が超絶美人に生まれ変わるげにヘアメイクこそ奇跡の魔法 蝶人