蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第419回
銀婚式/友人の銀婚式を祝うスピーチ
- 昔のエピソードを紹介してユーモラスに祝う
田中君、そして奥さんの郁子さん、銀婚式おめでとうございます。*1
私は田中君の高校時代からお付き合いをさせていただいております門山晃と申します。こうやってお二人が並んで座っていらっしゃるお姿を拝見しておりますと、あれからもう二十五年が過ぎたのかと夢のような思いがいたします。*2
真吾君は髪の毛が白くなり、ちょっと太りましたが、郁子さんのほうは相変わらずえくぼが可愛らしくてスマートで、「3年B組のマドンナ」の面影はそのまんまなので、同級生の一人としましてはイメージを裏切られずに実はホットしているところであります。*3
そもそも、人間は大きくイヌ派とネコ派の2種に分類されるそうですが、お二人は当時から猛烈なネコマニアでありました。捨てネコ、ドラネコなんでも来るネコは拒まず、ということで二人のアパートはまるでネコの巣窟のようでした。
それが相当不気味な様相を呈してきたために、イヌ派の私などはあまり寄り付かなくなってしまったのですが、ネコ好き同士の連帯感は非常に独特のものがあるようですね。
その強烈な連帯感がいつしか二人を結ぶ強い愛の絆に変わっていったのではないか、というのがアバウトなイヌ派である私の想像なのですが、*4
田中君、果たして真相はどうなのでしょうか?*5
冗談はともかく、当時からお二方の熱愛振りは傍目もうらやむほどでした。四半世紀の長い時間には色々なことがあったとは思いますが、現在田中君は環境問題の専門家として、郁子さんは福祉アドバイザーとしてそれぞれの分野でめざましい活躍をされております。
そしてお二人のマンションにはあいもかわらず何十匹ものネコちゃんが居候しているそうですよ。
田中君、郁子さん、ネコちゃんの食費をかせぐためにも、どうかこれからも体に気をつけて頑張ってください。
- スピーチのポイント
1)長い付き合いのある親友であることを告げて以下のスピーチの伏線を張ります。
2)当時のエピソードをユーモラスに紹介して会場の雰囲気をリラックスさせます。
3)イヌ派、ネコ派の区分は星座、血液型などと同様に多様なものを単純化する論法でいろいろな応用が可能。知っておくと便利です。
4)一方的に喋るばかりがスピーチではありません。このように出席者に直撃インタビューする手法も臨場感があって効果的です。
5)ユーモアに包みながらも二人の幸せを祈ります。
死んだように横たわっているけれどこの蛹まさしく春を待つアカタテハ 蝶人