照る日曇る日第1719回
1961年に刊行された義時に関する最も基本的で内外に定評のある名著を2004年の新装版で読む。
初版の刊行以来なんと60年以上も経過したために、学会の最新動向や最新式の見解は当然含まれていないが、その背筋のピンと伸びた厳格な学問的態度と、酸いも甘いも噛分けた大人の文章の風格は、最近雨後の筍の如く出てくる若手&中堅研究者の粗製乱造、吹けば飛ぶよな新書本なぞの遠く及ばない境地に達していて少なからず感服した。
阿呆莫迦公凶放送が人気脚本家を雇って仕掛けた「鎌倉殿の13人」ブームに煽られて、この古代封建的な朝廷政権を武力で打倒し、強力無比な武家政権の基盤を創成した、有能にして悪辣陰険な2代目執権の、業績と人となりに接したい人が、第一に読むべき書物は本書だろう。
命懸けで侵略と戦う民草にイチャモンつけるインテリを憎む 蝶人