今朝も小雨混じりで、花冷えが続く。
それでも、少しでもクリーニング代が安いうちに出そうとまとめた冬物が多く、その料金を考えると頭が痛くなる。
来冬からは着るのは3、4枚に抑え、残りは着ないでしまっておこう。
昨晩は駅から段葛の夜桜をみながら歩いて帰ったが、あんまりたくさんの人がいたので、中程で脇道にはいった。
巷は桜の便りとあとはいまだにWBCの話題で持ちきりだ。
実のところ、持ちきりというよりは、それぐらいしか今の日本には明るい話題、考えるべき話題がないからこうなっているとも言えるのは、今国会の議論の低調さというか茶番のようなくだらなさを振り返れば火を見るより明らかだ。
それはさておき、WBCではそれぞれの選手、監督の行動・発言に注目が集まっている。
日本でも一流の選手たちばかりだから、一家言あって然るべきだし、ましてやそれを束ねた監督ともなったらいうまでもない。
そんな中、後輩の選手たちの指導をして、日本チームを束ねて優勝に導いた、最年長のダルビッシュ有の振る舞いは素晴らしく、多くのことを学ばせてもらった。
所属するパドレスは36歳の彼と6年にわたる長期契約を結んだというが、それは、プレイヤーとしての能力と共に、チームを牽引する力に対するものでもあるという。
後進の指導というのは難しい。
若い才能は教えたら教えただけ伸びる。
教えるといっても、ありきたりのことを教えるだけでは役に立たない。
長年、培ってきたコツ、秘訣、そういったものをそれこそ惜しげもなく公開しなくては誰も聞いてくれなどしない。
もちろん、指導してもわからない人間はいくらでもいて、教えた通りにするのはほんの一握りだ。
優れた才能はそんなにたくさんいらないが、一人でも二人でもそんな後輩がいれば、自分の座は脅かされとってかわられてしまう。
それなのに、現役のうちから後進の指導をしているというダルビッシュは素晴らしい。
以前にも彼の立場を私に置き換えてみたことがあった。
私を指導してくれた先輩病理医は何人かいるが、記憶に残っているのは、熱心に指導してくれた先輩ばかりだ。
熱心に、というのは惜し気もなく知識やコツを教えてくれたということで、今の私があるのはそういった先生方のおかげだ。
私も今、指導している若手の病理医が何人かいる。
その中には、教えた分だけ伸びている人もいて、この調子なら数年後には私に追いつき、さらに勉強すれば、追い越していくだろうと思える。
このまま何も教えなければ、その人を含めて私の周りの若手の伸びは少し鈍化するだろうし、そうすれば私の存在意義も多少は高いままだ。
でも、そんな井の中の蛙的な考えでは、世界と戦うことはできないし、何より患者さんに最高の医療を届けることができない。
秘伝だなんだといったところで、残せなければ意味がない。
それよりも、よりよい技術を後進に伝えることで自分を越えていってもらった方が、世のため人のためになるという考えをもつことがよほどいい。
人のふり見て我がふり直せというが、ダルビッシュの振る舞いをみて、私自身を振り返り、身の振り方を改めるきっかけになった。
大谷翔平のドラマの主人公のような八面六臂の大活躍はもとより、今回のWBCは感動と共に、人としての生き方を伝えてくれた大会だった。
世界一ともなればそれも宜なるかな。
情けは人のためならず
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