病院の帰り、といっても仕事の帰りだが、通勤に使っている駅の手前で、前を歩いていたおじさんが、抱えていた紙袋から封筒のようなものを二三枚落とした。
おじさん、そのことに気がつかないようなので、コロ健、「おじさん!」とけっこう大きな声で呼び止めたのだが、気づいてくれない。
拾って渡そうと思い、少し戻って一枚拾ったところで顔を挙げたら、片手に同じような紙を持った仕事帰りらしいお嬢さんが、空いているほうの手を私の方に差し出して、私が拾った分を受け取りながら「どの方ですか?」と、尋ねてきた。
「あの人なんだけど。」と、そのおじさんのほうを見やったのだけど、おじさんばかりで、どのおじさんだかわからない。
一瞬、マズいと思ったが、おじさんの近くにいた人が私たちのことを知らせてくれ、そのお嬢さんがおじさんに落とし物を渡してくれた。
まあ、これにて、一件落着となった。
その後、その場を立ち去るうちに、笑いがこみ上げてきた。
「おじさん!」と大声で呼び止めたら、そちらの方は仕事帰りのおじさんだらけ、もちろんその親切なお嬢さんのような女性もいるが、どのひとがその「おじさん」だかわかるわけがない。
それに、そのおじさん、年の頃は私と同じアラフィフ。私は自分がおじさんだと頭では理解しているが、人に「おじさん」と呼ばれたと認識したことはない。そのおじさんだって、まさか自分がそう呼ばれたなどと思いもしないだろう。
さらに、そのお嬢さんからしてみれば「おじさん」が「おじさん」を呼び止めているなんて、おかしな状況だと思ったに違いないと思うと、自分で「しまった、俺がおじさんだったじゃねーか」と、改札口を通りすぎながら、苦笑いとともにつぶやいてしまった。
まったくもって、われながら間抜けなおじさんだった。
おじさん、そのことに気がつかないようなので、コロ健、「おじさん!」とけっこう大きな声で呼び止めたのだが、気づいてくれない。
拾って渡そうと思い、少し戻って一枚拾ったところで顔を挙げたら、片手に同じような紙を持った仕事帰りらしいお嬢さんが、空いているほうの手を私の方に差し出して、私が拾った分を受け取りながら「どの方ですか?」と、尋ねてきた。
「あの人なんだけど。」と、そのおじさんのほうを見やったのだけど、おじさんばかりで、どのおじさんだかわからない。
一瞬、マズいと思ったが、おじさんの近くにいた人が私たちのことを知らせてくれ、そのお嬢さんがおじさんに落とし物を渡してくれた。
まあ、これにて、一件落着となった。
その後、その場を立ち去るうちに、笑いがこみ上げてきた。
「おじさん!」と大声で呼び止めたら、そちらの方は仕事帰りのおじさんだらけ、もちろんその親切なお嬢さんのような女性もいるが、どのひとがその「おじさん」だかわかるわけがない。
それに、そのおじさん、年の頃は私と同じアラフィフ。私は自分がおじさんだと頭では理解しているが、人に「おじさん」と呼ばれたと認識したことはない。そのおじさんだって、まさか自分がそう呼ばれたなどと思いもしないだろう。
さらに、そのお嬢さんからしてみれば「おじさん」が「おじさん」を呼び止めているなんて、おかしな状況だと思ったに違いないと思うと、自分で「しまった、俺がおじさんだったじゃねーか」と、改札口を通りすぎながら、苦笑いとともにつぶやいてしまった。
まったくもって、われながら間抜けなおじさんだった。