今の医療のトレンドの一つが医療安全であることは論を待たない。というか、医療安全を守るなど当たり前のことだったのに、このことが長い間おろそかにされ、医療者主体の医療が優先されてきたように思う。
医療現場で、医療者同士で不都合が生じる場合、原因は医療技術とか手順の問題となる。ある医者だったら、手術前のルーティンが違うことに腹を立てることがあるだろうし、患者への接遇について独自の考え方を持っている看護師もいるだろう。そういうのを周囲の人間に教えてきて、今まで医療は進歩してきたが、最近はきちんと指導するとすぐにパワハラだなんだとなってしまい、どうも具合がよくわからない。指導などしないほうがよほどましだが、そうすると教えてくれない、無視されていると文句を言われることとなる。
なら、一体どうすればいいんだよ、とこぼしているうちにあれこれ指導する人間はうるさい人間として逆に疎外されて、上にも下にも世渡り上手の人だけが生き残っていくようになってしまった。
最近は、箸の上げ下げぐらいは教えようということになって、リスクマネジメントシステムが導入された。例えば手術前この患者確認などトリプルチェックとなり、やっと聖域だった医者についても注意できるようになった。ほんとうにやっとだ。
医療現場には様々なルーティンがあって、それを一つ一つ経ることで、最適な診断、治療に結びつく。 そういったことをいちいち言われるのが嫌な人は多いみたいで、仕方なく、リスクマネジメントシステムを正式なものとすることで、文句を言えないようにした。 それでも、うっとうしい顔をする人は相変わらずたくさんいる。
結局、いつまでたっても良心的にやろうとして口うるさい人間、言い過ぎたらパワハラになる。そして、開き直って少々嫌な顔をするほうが得をしたりする。
何ともやりきれない世の中だ。
幼稚な人が増えた