こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

後戻りするのは容易ではない

2020年06月16日 | 自然災害・事故・感染症
東京での新型コロナウイルス感染者数が二日続けて四十人を超えた。感染の疑われる人が検査を受けたためという事情もあるらしく、直ちにパンデミックに結びつく様なことではないらしい。いまのところ、感染ハイリスク生活圏とそうでない生活圏という異なるグループがあり、感染リスクの低い生活圏であればそれほどピリピリする必要はないだろうが、両方の世界を行き来する人がけっこういるし、それが誰なのかはわからないので結局全員がそういった人に引っ張られることになる。そういった店に出入りした記録の残るアプリが普及するといいのだが、行動を隠す人は多いから思った様にはいかないか。

感染拡大状況が悪化したら、緊急事態宣言が再び出される可能性もある。そうしたら、飲食業の人たちには大打撃となるだろうが、それに従う人は少ないだろう。いったん緩めてしまったら後戻りするのは容易ではない。再び数十人単位で人が亡くなる様なことにならない限り後戻りはしないだろう。さらに、新型コロナウイルス感染への治療方法が見つかってきたため、重篤化しても死に至ることは減ってきていそうなので、命が失われる事態は起きにくいということもある。対策会議の議事録が残っていないというのは残念だが、おびただしい数の論文が世界から発表され、それにAIによる解析が行われ、こうなったらどうしたらいいというのがある程度わかってきている。医療資源の枯渇さえ起こらなければのらりくらりとやっていくに違いないし、それはとてもいいことだ。
帰りがけに駅近、駅ナカの食堂、レストランが目に入ったが、どこもそこそこ人が入っている。フィジカルディスタンスはほとんどとられておらず、隣同士で飛沫を掛け合っている様に見える店もあった。そこにいる人たちが、感染のリスクも、感染した時の苦しみも想像できない正常性バイアスにどっぷり浸かっているのか、それとも恐怖から逃れるためにそうした行動に出ているのかはわからない。店の人も、背に腹は代えられないとばかり、客が来ればそのまま案内してしまう。こうして市中感染は広がっていく。このまま都知事選に入って、どの様な選挙戦となるのか、論戦の内容といい、戦い方といい、新しい時代の政治への試金石になりそうだ。

およそ100年前に多くの人の命を奪ったスペイン風邪のことが注目されている。防衛研究所が、巡洋艦内で感染の蔓延したことの資料を公開した(100年前の「スペインかぜ」でもマスク着用など呼びかけ | 2020年6月15日 NHKニュース)。なんのことはない、今も昔も感染リスクを減らせば感染は拡大しない。それができるかどうかが、今後の感染の広がりを左右するというだけの話だ。言うは易く行うは難しだが、個人レベルでは節度ある行動をしたら、感染のリスクは低いだろう。最近、ワクチン開発の話が現実味を帯びてきた。当初、1年半ぐらいかかるといいっていたから、あと1年か、1年半ぐらいである程度のものができるかもしれない。だからといって、その効果が公衆衛生学的にどの様な効果をもたらすものになるのかということは全くわからない。手探りの状況はまだまだ続きそうだ。
長期戦

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