続・原発の源流と日米関係⑥
揺らぐ原子力業界 利権維持へ日米融合
米国は1953年12月に打ち出した「平和のための原子力」(アトムズ・フォー・ピース)政策以来、軍事・非軍事の両面で核を利用した世界支配を行ってきました。
具体的には、世界中に核兵器の網の目を敷く一方、同盟国・友好国に濃縮ウランや原子炉を提供してエネルギー分野を支配下に置くというものです。日本はこれを全面的に受け入れてきた国です。
寿命最大80年
核による世界支配の要となってきたのが、米国の原子力産業です。GE(ゼネラル・エレクトロニクス)、WH(ウェスティング・ハウス)を軸とした主要企業は、①原子力発電②海軍用原子炉③核爆弾―といった分野で市場を独占してきました。
原発では、年間40基もの原子炉が発注された時期もありました。しかし、1970年代後半から新規発注は激減し、80年以降はゼロです。
その最大の理由は、1979年のスリーマイル島(TMI)事故を前後して重大事故が相次いだことです。もともとは原子力潜水艦用に開発した原子炉(軽水炉)を陸揚げして商業用に転化したため、“安全”を二の次、三の次にした弱点が露呈しました。
TMI事故後、米当局による規制が強化されました。追加的な安全対策でコストが上昇し、「安い電気」ではなくなったのです。現在、米国では104基が稼働していますが、多くは耐用年数が近づいています。このまま推移すれば、2020年代から原子炉廃炉の時代に突入します。米エネルギー省はこれを何とか食い止めようと、12年度予算に、寿命を最大80年に伸ばすための延命策を計上しています。

次世代原子炉
原発が斜陽産業化する中、WH社が経営危機に陥りました。2006年2月、東芝が同社を買収し、世界を驚かせました。2007年には日立とGEが原子力部門で合弁会社を設立し、日米融合が一気に進みました。
東芝は当時の報道発表で、「2020年までに世界の原子力需要は約1・5倍に拡大する」と予測。「今後大きな成長が見込まれる世界の原子力市場の変化を先取りし、WH社の株式を取得」したと述べています。
しかし、原発輸出を見込んでのもくろみは、福島第1原発事故によって崩れつつあります。
原子炉メーカーの幹部は言います。「TMI事故以来、商業用原子炉の管理・技術の第一人者は日本になった。しかし、今回の事故で、原発の安全性への世界的認識もマイナスになった。他国への売り込みに影響は出るだろう」
米エネルギー省の2012年度予算では、高温ガス冷却炉など「次世代原子炉」に加え、トラックで持ち運びが可能とされる「小型原子炉」の研究・開発費が計上されました。
東芝・WH社はすでに小型原子炉の開発に乗り出しています。既存炉の延命と新たな原子炉の開発を並行して進めながら、何としても原発利権を維持する―日米双方の思惑が感じられます。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年7月31日付掲載
アメリカでさえ新たな原子力発電所の建設がすすまず原発メーカーが危機に陥っているんですね。それを日本の東芝や日立が資金的に救っている。まさに日米の逆合併です。
高圧ガス冷却炉など「次世代原子炉」って、志位さんいっている「新しい型の原子炉」でしょうね。志位さんは新しい型の原子炉でも本質的には核燃料を燃やした後の「死の灰」を封じ込めておくしか手がなく、「死の灰」を無毒にする技術を人類はもっていないといいます。
そんな「新しい」原子炉を開発してまで利権を維持していきたいのですね。
揺らぐ原子力業界 利権維持へ日米融合
米国は1953年12月に打ち出した「平和のための原子力」(アトムズ・フォー・ピース)政策以来、軍事・非軍事の両面で核を利用した世界支配を行ってきました。
具体的には、世界中に核兵器の網の目を敷く一方、同盟国・友好国に濃縮ウランや原子炉を提供してエネルギー分野を支配下に置くというものです。日本はこれを全面的に受け入れてきた国です。
寿命最大80年
核による世界支配の要となってきたのが、米国の原子力産業です。GE(ゼネラル・エレクトロニクス)、WH(ウェスティング・ハウス)を軸とした主要企業は、①原子力発電②海軍用原子炉③核爆弾―といった分野で市場を独占してきました。
原発では、年間40基もの原子炉が発注された時期もありました。しかし、1970年代後半から新規発注は激減し、80年以降はゼロです。
その最大の理由は、1979年のスリーマイル島(TMI)事故を前後して重大事故が相次いだことです。もともとは原子力潜水艦用に開発した原子炉(軽水炉)を陸揚げして商業用に転化したため、“安全”を二の次、三の次にした弱点が露呈しました。
TMI事故後、米当局による規制が強化されました。追加的な安全対策でコストが上昇し、「安い電気」ではなくなったのです。現在、米国では104基が稼働していますが、多くは耐用年数が近づいています。このまま推移すれば、2020年代から原子炉廃炉の時代に突入します。米エネルギー省はこれを何とか食い止めようと、12年度予算に、寿命を最大80年に伸ばすための延命策を計上しています。

次世代原子炉
原発が斜陽産業化する中、WH社が経営危機に陥りました。2006年2月、東芝が同社を買収し、世界を驚かせました。2007年には日立とGEが原子力部門で合弁会社を設立し、日米融合が一気に進みました。
東芝は当時の報道発表で、「2020年までに世界の原子力需要は約1・5倍に拡大する」と予測。「今後大きな成長が見込まれる世界の原子力市場の変化を先取りし、WH社の株式を取得」したと述べています。
しかし、原発輸出を見込んでのもくろみは、福島第1原発事故によって崩れつつあります。
原子炉メーカーの幹部は言います。「TMI事故以来、商業用原子炉の管理・技術の第一人者は日本になった。しかし、今回の事故で、原発の安全性への世界的認識もマイナスになった。他国への売り込みに影響は出るだろう」
米エネルギー省の2012年度予算では、高温ガス冷却炉など「次世代原子炉」に加え、トラックで持ち運びが可能とされる「小型原子炉」の研究・開発費が計上されました。
東芝・WH社はすでに小型原子炉の開発に乗り出しています。既存炉の延命と新たな原子炉の開発を並行して進めながら、何としても原発利権を維持する―日米双方の思惑が感じられます。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年7月31日付掲載
アメリカでさえ新たな原子力発電所の建設がすすまず原発メーカーが危機に陥っているんですね。それを日本の東芝や日立が資金的に救っている。まさに日米の逆合併です。
高圧ガス冷却炉など「次世代原子炉」って、志位さんいっている「新しい型の原子炉」でしょうね。志位さんは新しい型の原子炉でも本質的には核燃料を燃やした後の「死の灰」を封じ込めておくしか手がなく、「死の灰」を無毒にする技術を人類はもっていないといいます。
そんな「新しい」原子炉を開発してまで利権を維持していきたいのですね。