原発とテレビ④ ただちに福島の現場へ
原発導入の国策のもとでテレビが宣伝の役割を担う一方、それとせめぎ合うように原発の危険性を問う番組が作られてもきました。福島第-原子力発電所の事故が発生した今、少なくない番組制作者が原発の問題に向き合おうとしています。
再放送の要望
3月11日の事故から4日後、放射線衛生学研究者・木村真三さんとNHKのスタッフを乗せた車が東京から被災地へ向かっていました。目指すは福島第1原発。テレビは繰り返し、「ただちに人体への影響はありません」という枝野幸男官房長官(当時)の記者会見を流していました。
事故直後の福島へ入り、放射能汚染の実態と住民の姿をとらえたETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図」(5月15日)はこうして制作がスタートします。スタッフの一人、七沢潔さんが17日に開かれた、放送を語る会主催の「放送フォーラム」で、取材の模様を報告しました。
七沢さんは、NHK放送文化研究所の主任研究員。1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の影響を調査したNHK特集「放射能食糧汚染」(87年)、ドキュメンタリー’90「原発立地はこうして進む~奥能登・土地攻防戦」(90年)を制作。2004年に研究所へ異動となりますが、福島の事故でETV特集の取材チームに参加するよう要請されます。福島へ同行した木村さんとは3年前にチェルノブイリヘ調査に行った間柄でした。
今回の取材は防護服など万全の準備で出発したこと、30キロ圏から中へ入るときは風向きまで考慮したこと。七沢さんの話は臨場感が漂います。番組には再放送の要望が殺到しました。
「原発は、人が生きてきた生存基盤を根こそぎ奪う。番組が支持されたのは、そのことへの怒りを感じた人が多かったからと思います。原発は本当に罪深いと感じました」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/92/86a28a135f72fd335bf826e0e9e89b95.jpg)
批判的視点を
原発事故の責任は、国と東京電力にあります。
「そこが発表するものにテレビが依存しては、いかんわけですね。批判的なものを持っていないと。公共放送は視聴者が何を知りたいか、その視点を持つことです」。七沢さんの話にフォーラム参加者は聞き入ります。
「放射能汚染地図」は、今年のJCJ大賞に審査員の満票で選ばれました。8月の授賞式で七沢さんは、原発を問う歴代のNHK番組とそれに関わったスタッフ一人ひとりの名をあげて、その蓄積が今回の福島取材につながったことを話しました。
テレビが総じて「安全神話」を振りまく中で、70年代は原発反対の住民運動を伝え、80年代以降は事故や放射性廃棄物などの問題を問いかけ、原子力を科学的に検証する番組が出てきたことも事実です。
しかし、“クリーンなエネルギー”“快適な生活”という新たな「安全神話」を復活させてしまったのではないか。「テレビの責任をはっきりさせたい。放送局は変わらなければいけない」。福島の事故を機に心ある放送人の間では、そんな思いが強くなっています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年9月26日付掲載
NHKのETV特集で「放射線地図」作成の取り組みが紹介されています。
特に、3番目の特集で、実際に民家を除染しようとすれはどれほどのことが必要なのか紹介しています。
NHKが取材で結びついた、小さな子どものいるある家庭の民家を二本松市総がかりで除染しています。たった一軒の除染でこれだけ大変なのだから、すべての家屋の除染をするとなると途方もない経費がかかります。自治体任せにはできません、国や東電に最後まで財政的責任を取ってもらわないといけません。
【ネットワークでつくる放射能汚染地図~福島原発事故から2か月~】
【続報 ネットワークでつくる放射能汚染地図】
【ネットワークでつくる放射能汚染地図 3 子どもたちを被ばくから守るために】
原発導入の国策のもとでテレビが宣伝の役割を担う一方、それとせめぎ合うように原発の危険性を問う番組が作られてもきました。福島第-原子力発電所の事故が発生した今、少なくない番組制作者が原発の問題に向き合おうとしています。
再放送の要望
3月11日の事故から4日後、放射線衛生学研究者・木村真三さんとNHKのスタッフを乗せた車が東京から被災地へ向かっていました。目指すは福島第1原発。テレビは繰り返し、「ただちに人体への影響はありません」という枝野幸男官房長官(当時)の記者会見を流していました。
事故直後の福島へ入り、放射能汚染の実態と住民の姿をとらえたETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図」(5月15日)はこうして制作がスタートします。スタッフの一人、七沢潔さんが17日に開かれた、放送を語る会主催の「放送フォーラム」で、取材の模様を報告しました。
七沢さんは、NHK放送文化研究所の主任研究員。1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の影響を調査したNHK特集「放射能食糧汚染」(87年)、ドキュメンタリー’90「原発立地はこうして進む~奥能登・土地攻防戦」(90年)を制作。2004年に研究所へ異動となりますが、福島の事故でETV特集の取材チームに参加するよう要請されます。福島へ同行した木村さんとは3年前にチェルノブイリヘ調査に行った間柄でした。
今回の取材は防護服など万全の準備で出発したこと、30キロ圏から中へ入るときは風向きまで考慮したこと。七沢さんの話は臨場感が漂います。番組には再放送の要望が殺到しました。
「原発は、人が生きてきた生存基盤を根こそぎ奪う。番組が支持されたのは、そのことへの怒りを感じた人が多かったからと思います。原発は本当に罪深いと感じました」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/92/86a28a135f72fd335bf826e0e9e89b95.jpg)
批判的視点を
原発事故の責任は、国と東京電力にあります。
「そこが発表するものにテレビが依存しては、いかんわけですね。批判的なものを持っていないと。公共放送は視聴者が何を知りたいか、その視点を持つことです」。七沢さんの話にフォーラム参加者は聞き入ります。
「放射能汚染地図」は、今年のJCJ大賞に審査員の満票で選ばれました。8月の授賞式で七沢さんは、原発を問う歴代のNHK番組とそれに関わったスタッフ一人ひとりの名をあげて、その蓄積が今回の福島取材につながったことを話しました。
テレビが総じて「安全神話」を振りまく中で、70年代は原発反対の住民運動を伝え、80年代以降は事故や放射性廃棄物などの問題を問いかけ、原子力を科学的に検証する番組が出てきたことも事実です。
しかし、“クリーンなエネルギー”“快適な生活”という新たな「安全神話」を復活させてしまったのではないか。「テレビの責任をはっきりさせたい。放送局は変わらなければいけない」。福島の事故を機に心ある放送人の間では、そんな思いが強くなっています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年9月26日付掲載
NHKのETV特集で「放射線地図」作成の取り組みが紹介されています。
特に、3番目の特集で、実際に民家を除染しようとすれはどれほどのことが必要なのか紹介しています。
NHKが取材で結びついた、小さな子どものいるある家庭の民家を二本松市総がかりで除染しています。たった一軒の除染でこれだけ大変なのだから、すべての家屋の除染をするとなると途方もない経費がかかります。自治体任せにはできません、国や東電に最後まで財政的責任を取ってもらわないといけません。
【ネットワークでつくる放射能汚染地図~福島原発事故から2か月~】
【続報 ネットワークでつくる放射能汚染地図】
【ネットワークでつくる放射能汚染地図 3 子どもたちを被ばくから守るために】