変革のベネズエラ 国づくりと課題① 露天商からの脱却
自主的な経済・外交政策を確立し、国民生活向上を重視した「新しい国づくり」を進めてきたベネズエラ。先の大統領選(10月7日)では、チャベス氏が4選を果たし、この改革の方向について国民の信任が改めて確認されました。その一方で、同氏への批判票を集めて過去最高の得票を記録した野党候補にも注目が寄せられました。選挙の中で浮き彫りになったチャベス政権の成果、そして弱点とは?(カラカス=菅原啓 写真も)
「こんなきれいな場所で仕事ができるなんて夢のよう。(路上で店を出していた時のように)雨風の影響で右往左往することもないですし…」

元露天商が入居する商業ビル
優先的に入居
首都カラカスの繁華街サバナグランデにある11階建てのビル。間口2メートルほどの小さな下着店を構える女性店主マルレネ・リベロさん(47)が笑顔を見せました。
サバナグランデは歩行者専用の大通り。かつては露天商がびっしりと軒を連ね、まっすぐ歩くことも困難なほどの「混沌(こんとん)とした世界」(地元住民)でした。
チャベス政権は、露天商たちが優先的に入居できるビルを確保し、昨年2月にオープンしました。エスカレーターも設置され、一見ショッピングセンターのような華やかさです。
ビルを管理する地域住民省のオスバルド・カリジョ局長(非正規経済転換計画担当)によると、店舗数は850。「零細な商売をする人々に尊厳ある生活を保障するのが目的」「水光熱費や家賃もいまのところ請求していない」とのことでした。
若者向け衣料の店を出しているエクトル・バウティスタさん(46)は「さらに売り上げを伸ばすためにチラシを作りたいが、そのための資金がない」と語ります。
カリジョ局長は、入居者が一定まとまれば、政府系銀行からの融資も受けられるといいます。

元露天商が集まった商業ビルの中で下着屋の店を構えるマルレネ・リベロさん。マネキンの手首にチャベス支持のバンダナ

地域住民省のオスバルド・カリジョ局長=カラカス
不正のうわさ
ベネズエラでは、低所得層に「尊厳ある住宅」を提供する「ベネズエラ大住宅計画」も進行中。これまでに約25万戸が引き渡されました。
無料の診療所の設置や公立学校の無償化、就学支援金支出などさまざまな社会開発計画(ミシオン)が国民生活向上につながっています。
その恩恵を直接受けている低所得層では、チャベス大統領の支持率は圧倒的でした。ただ、店舗ビルや公共住宅への入居に当たっては、与党関係者が優先されたとのうわさも後を絶ちません。
「でも、こうした庶民向けの支援を具体化した政権がこれまであったでしょうか。不正などは、私たち自身がもっと自主的な力をつけて、是正していくしかありません」とリベロさんは語りました。
ミシオンの成果は、野党勢力でも否定できません。野党系紙ナシオナル(10月9日付)も、ミシオンが「チャベス氏勝利のカギだった」と報じざるをえませんでした。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年10月19日付掲載
インフラの整備でも、こんなインフラなら大歓迎ですね。貧困層の生活レベルをアップすれば、全体の生活レベルがアップするのですから・・・
自主的な経済・外交政策を確立し、国民生活向上を重視した「新しい国づくり」を進めてきたベネズエラ。先の大統領選(10月7日)では、チャベス氏が4選を果たし、この改革の方向について国民の信任が改めて確認されました。その一方で、同氏への批判票を集めて過去最高の得票を記録した野党候補にも注目が寄せられました。選挙の中で浮き彫りになったチャベス政権の成果、そして弱点とは?(カラカス=菅原啓 写真も)
「こんなきれいな場所で仕事ができるなんて夢のよう。(路上で店を出していた時のように)雨風の影響で右往左往することもないですし…」

元露天商が入居する商業ビル
優先的に入居
首都カラカスの繁華街サバナグランデにある11階建てのビル。間口2メートルほどの小さな下着店を構える女性店主マルレネ・リベロさん(47)が笑顔を見せました。
サバナグランデは歩行者専用の大通り。かつては露天商がびっしりと軒を連ね、まっすぐ歩くことも困難なほどの「混沌(こんとん)とした世界」(地元住民)でした。
チャベス政権は、露天商たちが優先的に入居できるビルを確保し、昨年2月にオープンしました。エスカレーターも設置され、一見ショッピングセンターのような華やかさです。
ビルを管理する地域住民省のオスバルド・カリジョ局長(非正規経済転換計画担当)によると、店舗数は850。「零細な商売をする人々に尊厳ある生活を保障するのが目的」「水光熱費や家賃もいまのところ請求していない」とのことでした。
若者向け衣料の店を出しているエクトル・バウティスタさん(46)は「さらに売り上げを伸ばすためにチラシを作りたいが、そのための資金がない」と語ります。
カリジョ局長は、入居者が一定まとまれば、政府系銀行からの融資も受けられるといいます。

元露天商が集まった商業ビルの中で下着屋の店を構えるマルレネ・リベロさん。マネキンの手首にチャベス支持のバンダナ

地域住民省のオスバルド・カリジョ局長=カラカス
不正のうわさ
ベネズエラでは、低所得層に「尊厳ある住宅」を提供する「ベネズエラ大住宅計画」も進行中。これまでに約25万戸が引き渡されました。
無料の診療所の設置や公立学校の無償化、就学支援金支出などさまざまな社会開発計画(ミシオン)が国民生活向上につながっています。
その恩恵を直接受けている低所得層では、チャベス大統領の支持率は圧倒的でした。ただ、店舗ビルや公共住宅への入居に当たっては、与党関係者が優先されたとのうわさも後を絶ちません。
「でも、こうした庶民向けの支援を具体化した政権がこれまであったでしょうか。不正などは、私たち自身がもっと自主的な力をつけて、是正していくしかありません」とリベロさんは語りました。
ミシオンの成果は、野党勢力でも否定できません。野党系紙ナシオナル(10月9日付)も、ミシオンが「チャベス氏勝利のカギだった」と報じざるをえませんでした。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年10月19日付掲載
インフラの整備でも、こんなインフラなら大歓迎ですね。貧困層の生活レベルをアップすれば、全体の生活レベルがアップするのですから・・・