福島第1・汚染水漏れ貯水槽~「水入れる構造でない」
環境省の専門家証言
トラブルが相次ぐ東京電力福島第1原発。完成からわずか4カ月の地下貯水槽の三つで高濃度の汚染水漏れが見つかり、ずさんな放射性物質の管理が表面化しています。貯水槽に使われた水漏れ防止の技術に詳しい国の専門家は、「貯水は本来の技術の使い方ではない」と本紙に証言。事前に簡単な検証をすれば、漏出を防げた可能性を示しました。
(本田祐典)
「東電からの問い合わせはありませんでした。もし聞かれていれば、水を入れる構造ではありませんとお答えしたでしょう」
環境省の窪田哲也技術専門官(産業廃棄物課)は、東電が使った水漏れ防止の技術は貯水の安全性が確認されていないと指摘します。
高濃度汚染水が漏れた貯水槽は、厚さ1.5ミリの合成樹脂シート2枚を重ね、その下に厚さ6.4ミリの粘土質シートを敷いた簡単なつくりです。
高濃度の汚染水が漏れた福島第1原発の地下貯水槽(東京電力提供)
処分場用を転用
東電が参考にしたのは、環境省が所管する、産業廃棄物の「管理型処分場」といわれる施設です。処分場で汚水や雨水の流出を防ぐために使われるシートを貯水槽に転用しました。
窪田技術専門官はこの水漏れ防止の技術など処分場の構造を担当する国の専門家です。ところが、東電は技術をまねするにあたって環境省に意見を聞いていませんでした。
さらに、東電から処分場での水漏れ防止技術の実績を説明された当時の原子力安全・保安院はそれをうのみにし、環境省に実態を確認しませんでした。
「丈夫とはいってもシートだから、破れないものではありません。破れた事故も何件か公表されていますから、インターネットなどでも把握できるでしょう」と、窪田技術専門官は示します。
全国各地で破損
実際、全国各地の処分場でシートの破損が起きています。東京都八王子市戸吹処分場(1985年7月)▽東京都日の出町谷戸沢広域処分場(92年3月)▽愛知県津島市新開処分場(96年5月)▽千葉県八千代市一般廃棄物処分場(2002年2月)▽宮崎県都城市高崎一般廃棄物処分場(08年6月)▽滋賀県甲賀市クリーンセンター滋賀(10年12月)―など。
このほか、各地の処分場では、「細かなシートの破損は公表されず、現場で補修が繰り返されているのが実態」(窪田技術専門官)。周辺住民から工法の改善を求める声も あがっています。
破損を引き起こす原因は、シートの劣化や地盤の変形、内容物の重み、接着・接合のミス、作業機械で引っかくなどです。問題の貯水槽で何が起きたのかは、いまだに分かっていません。
汚染水移送を延期
東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の地下貯水槽から放射性物質を含む汚染水が漏れている問題で、東電は14日、同日から実施するとしていた地上のタンクへの移送を延期すると発表しました。貯水槽に入っている汚染水に含まれる放射性物質の濃度は1立方センチ当たり約29万ベクレルで、移送が遅れれば遅れるほど、放射性物質が周辺の土壌に漏れ出すことになります。
延期されることになったのは、最初に汚染水が漏れていることがわかった2号貯水槽からH2エリアのタンクへの移送。2号貯水槽の汚染水は1号貯水槽へ移送していましたが、その後3号貯水槽でも漏れが見つかり、さらに1号貯水槽からも漏れていることがわかったため、東電は全量を地上のタンクに移すとしていました。
14日は地上タンクへの最初の移送が行われる予定でしたが、11日に3号貯水槽の移送用ポンプが故障したことから、安全性の確認が必要になったためとしています。
IAEAが調査を開始
東京電力福島第1原発で停電による使用済み燃料プールの冷却停止や汚染水漏れなどのトラブルが相次ぐ中、廃炉に向けた取り組みを調べる国際原子力機関(IAEA)調査団が15日までに来日し、同日、調査を開始しました。
記者会見した調査団長のファン・カルロス・レンティッホIAEA核燃料サイクル・廃棄物技術部長は「今回は、廃炉に向けた総合的な戦略や計画について評価することが目的だが、汚染水漏れや停電などの問題も調査対象に入っている」と言及。現状認識については、「予備的な情報は把握しているが、この場で意見を申し上げるのは時期尚早だ」と述べるにとどめました。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年4月16日付掲載
地下貯水槽からの汚染水漏れについて、すでにツイートしています。
各地のゴミの最終処分地でも地下水への汚染が報告されています。ゴミの最終処分地の場合は大半が固形物なのに対して、汚染水の貯水槽は全部が液体です。
その分、漏れ出しの危険性が何十倍、何百倍も大きい事、リスクが大きい事は明らかなのに…。
それを見逃していたとは、原子力規制委員会は何をしていたのでしょうかね。
早く地上のタンクで安全に管理してほしいと思います。
環境省の専門家証言
トラブルが相次ぐ東京電力福島第1原発。完成からわずか4カ月の地下貯水槽の三つで高濃度の汚染水漏れが見つかり、ずさんな放射性物質の管理が表面化しています。貯水槽に使われた水漏れ防止の技術に詳しい国の専門家は、「貯水は本来の技術の使い方ではない」と本紙に証言。事前に簡単な検証をすれば、漏出を防げた可能性を示しました。
(本田祐典)
「東電からの問い合わせはありませんでした。もし聞かれていれば、水を入れる構造ではありませんとお答えしたでしょう」
環境省の窪田哲也技術専門官(産業廃棄物課)は、東電が使った水漏れ防止の技術は貯水の安全性が確認されていないと指摘します。
高濃度汚染水が漏れた貯水槽は、厚さ1.5ミリの合成樹脂シート2枚を重ね、その下に厚さ6.4ミリの粘土質シートを敷いた簡単なつくりです。
高濃度の汚染水が漏れた福島第1原発の地下貯水槽(東京電力提供)
処分場用を転用
東電が参考にしたのは、環境省が所管する、産業廃棄物の「管理型処分場」といわれる施設です。処分場で汚水や雨水の流出を防ぐために使われるシートを貯水槽に転用しました。
窪田技術専門官はこの水漏れ防止の技術など処分場の構造を担当する国の専門家です。ところが、東電は技術をまねするにあたって環境省に意見を聞いていませんでした。
さらに、東電から処分場での水漏れ防止技術の実績を説明された当時の原子力安全・保安院はそれをうのみにし、環境省に実態を確認しませんでした。
「丈夫とはいってもシートだから、破れないものではありません。破れた事故も何件か公表されていますから、インターネットなどでも把握できるでしょう」と、窪田技術専門官は示します。
全国各地で破損
実際、全国各地の処分場でシートの破損が起きています。東京都八王子市戸吹処分場(1985年7月)▽東京都日の出町谷戸沢広域処分場(92年3月)▽愛知県津島市新開処分場(96年5月)▽千葉県八千代市一般廃棄物処分場(2002年2月)▽宮崎県都城市高崎一般廃棄物処分場(08年6月)▽滋賀県甲賀市クリーンセンター滋賀(10年12月)―など。
このほか、各地の処分場では、「細かなシートの破損は公表されず、現場で補修が繰り返されているのが実態」(窪田技術専門官)。周辺住民から工法の改善を求める声も あがっています。
破損を引き起こす原因は、シートの劣化や地盤の変形、内容物の重み、接着・接合のミス、作業機械で引っかくなどです。問題の貯水槽で何が起きたのかは、いまだに分かっていません。
汚染水移送を延期
東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の地下貯水槽から放射性物質を含む汚染水が漏れている問題で、東電は14日、同日から実施するとしていた地上のタンクへの移送を延期すると発表しました。貯水槽に入っている汚染水に含まれる放射性物質の濃度は1立方センチ当たり約29万ベクレルで、移送が遅れれば遅れるほど、放射性物質が周辺の土壌に漏れ出すことになります。
延期されることになったのは、最初に汚染水が漏れていることがわかった2号貯水槽からH2エリアのタンクへの移送。2号貯水槽の汚染水は1号貯水槽へ移送していましたが、その後3号貯水槽でも漏れが見つかり、さらに1号貯水槽からも漏れていることがわかったため、東電は全量を地上のタンクに移すとしていました。
14日は地上タンクへの最初の移送が行われる予定でしたが、11日に3号貯水槽の移送用ポンプが故障したことから、安全性の確認が必要になったためとしています。
IAEAが調査を開始
東京電力福島第1原発で停電による使用済み燃料プールの冷却停止や汚染水漏れなどのトラブルが相次ぐ中、廃炉に向けた取り組みを調べる国際原子力機関(IAEA)調査団が15日までに来日し、同日、調査を開始しました。
記者会見した調査団長のファン・カルロス・レンティッホIAEA核燃料サイクル・廃棄物技術部長は「今回は、廃炉に向けた総合的な戦略や計画について評価することが目的だが、汚染水漏れや停電などの問題も調査対象に入っている」と言及。現状認識については、「予備的な情報は把握しているが、この場で意見を申し上げるのは時期尚早だ」と述べるにとどめました。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年4月16日付掲載
地下貯水槽からの汚染水漏れについて、すでにツイートしています。
各地のゴミの最終処分地でも地下水への汚染が報告されています。ゴミの最終処分地の場合は大半が固形物なのに対して、汚染水の貯水槽は全部が液体です。
その分、漏れ出しの危険性が何十倍、何百倍も大きい事、リスクが大きい事は明らかなのに…。
それを見逃していたとは、原子力規制委員会は何をしていたのでしょうかね。
今まで汚染水を地下貯水槽に入れていたまずさが明らかになりました。 経費がかかっても地上のタンクで管理すべき。遅きになりましたが安全第一で取り組んで欲しいです。原発汚染水 すべて地上タンクへ/経産相表明 塩川氏「国が対応を」 jcp.or.jp/akahata/aik13/…
― きんちゃんさん (@kinchan0701) 【今まで汚染水を地下貯水槽に入れていたまずさが明らかになりました】
燃えないゴミなどの埋め立て処分地もシートから漏れ出す汚染水が地下水を汚すと問題になります。ましてや放射能汚染水ですから、いい加減なことは許されません。 原発汚染水 すべて地上タンクへ/経産相表明 塩川氏「国が対応を」 jcp.or.jp/akahata/aik13/…
― きんちゃんさん (@kinchan0701) 【燃えないゴミなどの埋め立て処分地もシートから漏れ出す汚染水が地下水を汚すと問題になります】
早く地上のタンクで安全に管理してほしいと思います。