国政にみる「維新」の正体① 崩れる「第3極」の虚像
昨年末の総選挙で、自民、民主に代わる「第3極」を売り物に54議席を得た日本維新の会。国政進出から3カ月余、国会活動や党大会から、「正体」がみえつつあります。
安倍氏を礼賛
「安倍首相がどんどん輝いてきましたね」。30日の党大会で橋下徹共同代表(大阪市長)は、再三にわたって自民党の安倍晋三首相をほめちぎりました。
「安倍首相はどんどんいろんなことをしている」「応援するところは応援していかなければならない」。あまりの礼賛ぶりに、大会後の会見では、記者団から「他党のことをあそこまでほめる党大会も珍しい」と皮肉をあびせられるほど。
それでも橋下氏は「自民党のことはほめていない。安倍首相の大胆な方針、政治行動は高く評価されるべきだ」と開き直りました。自民党を「既得権」集団と切り捨てる一方、「安倍改革」をすすめるには「維新が必要」との売り込みです。
橋下氏が評価したのはなにか。経済主権と食料主権を米国に売り渡す環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加表明や、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設などです。米国と財界いいなりの象徴ばかりであり、“亡国”の自民党政治そのものです。
橋下氏は、新基地建設に関して「県内移設の代替案がなければとりあえず辺野古に移して、普天間の固定化を避ける。責任あるものが考えればその結論しかない」と言い放ちましたが、そこにはどんなに否定しようと自民党政治の補完勢力にすぎない「維新の会」の立ち位置が浮かび上がります。
国会審議ではもっと鮮明です。大企業支援策と国債増発による大型公共事業という旧来の自民党政治を復活させた2012年度補正予算に与党とともに賛成。参院では1票差での可決を後押しました。日銀総裁人事も賛成、ネット選挙解禁では自公と法案を共同提出するまでになりました。
衆参の予算委員会の審議でも、片山虎之助副政調会長が「日本維新の会と自民党はかなり政策が似ているんですよ」(2月19日)と言明。安倍首相のTPP交渉参加表明には「誠に適切であり、高く評価したい」(同3月18日、山田宏衆院議員)、「素晴らしいリーダーシップ」(同・木下智彦衆院議員)と質問に立った議員が次々と賛美しました。

日本維新の会第1回党大会であいさつする橋下徹共同代表=3月30日、大阪市内
支持率が続落
「自民党そのもの」を鮮明にした同党の支持率は急降下。時事通信の世論調査では支持率が1月4・6%、2月3・3%、3月2・0%と続落。共同通信の世論調査では、衆院選直後には16・5%だった支持率が7・1%(3月)です。メディア関係者からも「色あせた」という感想がもれます。
そうしたなか、橋下氏は夏の参院選で改憲勢力が3分の2を形成することをめざすと言明。右翼・改憲姿勢を鮮明にしました。
基本路線で自民党政治を補完するだけに、改憲と新自由主義的改革でより過激に出ることで存在意義を見出すしかない「維新」の今があらわれています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年4月1日付掲載
昨年の総選挙。大阪や兵庫などでは比例で自民党を抜いて第一党を豪語しましたが…。その実態は明らかになりつつあります。
昨年末の総選挙で、自民、民主に代わる「第3極」を売り物に54議席を得た日本維新の会。国政進出から3カ月余、国会活動や党大会から、「正体」がみえつつあります。
安倍氏を礼賛
「安倍首相がどんどん輝いてきましたね」。30日の党大会で橋下徹共同代表(大阪市長)は、再三にわたって自民党の安倍晋三首相をほめちぎりました。
「安倍首相はどんどんいろんなことをしている」「応援するところは応援していかなければならない」。あまりの礼賛ぶりに、大会後の会見では、記者団から「他党のことをあそこまでほめる党大会も珍しい」と皮肉をあびせられるほど。
それでも橋下氏は「自民党のことはほめていない。安倍首相の大胆な方針、政治行動は高く評価されるべきだ」と開き直りました。自民党を「既得権」集団と切り捨てる一方、「安倍改革」をすすめるには「維新が必要」との売り込みです。
橋下氏が評価したのはなにか。経済主権と食料主権を米国に売り渡す環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加表明や、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設などです。米国と財界いいなりの象徴ばかりであり、“亡国”の自民党政治そのものです。
橋下氏は、新基地建設に関して「県内移設の代替案がなければとりあえず辺野古に移して、普天間の固定化を避ける。責任あるものが考えればその結論しかない」と言い放ちましたが、そこにはどんなに否定しようと自民党政治の補完勢力にすぎない「維新の会」の立ち位置が浮かび上がります。
国会審議ではもっと鮮明です。大企業支援策と国債増発による大型公共事業という旧来の自民党政治を復活させた2012年度補正予算に与党とともに賛成。参院では1票差での可決を後押しました。日銀総裁人事も賛成、ネット選挙解禁では自公と法案を共同提出するまでになりました。
衆参の予算委員会の審議でも、片山虎之助副政調会長が「日本維新の会と自民党はかなり政策が似ているんですよ」(2月19日)と言明。安倍首相のTPP交渉参加表明には「誠に適切であり、高く評価したい」(同3月18日、山田宏衆院議員)、「素晴らしいリーダーシップ」(同・木下智彦衆院議員)と質問に立った議員が次々と賛美しました。

日本維新の会第1回党大会であいさつする橋下徹共同代表=3月30日、大阪市内
支持率が続落
「自民党そのもの」を鮮明にした同党の支持率は急降下。時事通信の世論調査では支持率が1月4・6%、2月3・3%、3月2・0%と続落。共同通信の世論調査では、衆院選直後には16・5%だった支持率が7・1%(3月)です。メディア関係者からも「色あせた」という感想がもれます。
そうしたなか、橋下氏は夏の参院選で改憲勢力が3分の2を形成することをめざすと言明。右翼・改憲姿勢を鮮明にしました。
基本路線で自民党政治を補完するだけに、改憲と新自由主義的改革でより過激に出ることで存在意義を見出すしかない「維新」の今があらわれています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年4月1日付掲載
昨年の総選挙。大阪や兵庫などでは比例で自民党を抜いて第一党を豪語しましたが…。その実態は明らかになりつつあります。