きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

変貌する経済 税逃れ② 闇の世界に巨額の資金

2014-10-17 23:12:37 | 経済・産業・中小企業対策など
変貌する経済 税逃れ② 闇の世界に巨額の資金

世界では、ごくわずかな富裕層が富をため込む一方で、億単位の人々が極度の貧困状態に置かれています。
国際協力団体のオックスファムは今年1月、人口の1%を占める富裕層の富は110兆ドル(約1京2000兆円)に達しており、企業利益や経営者たちの報酬などは、日々その記録を塗り替え、勢いが減速する兆しはないとの試算を発表しています。
報告書は、「多国籍企業や最富裕層が、自らの利益に資するよう政治に働きかけ、経済ルールを操り、民主主義を損なうやり方で富を蓄積している」と指摘します。
この状況について世界銀行のキム総裁は、「とてつもなく大きな所得の不平等は、われわれ全員の良心の汚点である」と憂えています。

開発目標に障害
2000年9月、ニューヨークの国連本部で開催された国連ミレニアム・サミットに参加した189の加盟国代表が、21世紀の国際社会の目標として、採択した「国連ミレニアム宣言」の一節は次のように指摘しています。
「グローバリゼーションは大きな機会を提供する一方、現時点でその恩恵は極めて不均等に配分され、そのコストは不均等に配分されている。われわれは開発途上国および経済が移行期にある諸国がこの主たる課題に対応する上で特別の困難に直面していることを認識する」
ミレニアム開発目標は、貧困の削減など八つの目標を掲げました。いくつかの前進はあるものの、達成の障害になっている最大の問題は資金の不足。ところがこの資金不足は意図的につくり出されています。



ニューヨークで開かれた第69回国連総会=9月24日(ロイター)

途上国から流出
途上国からの不正な資金流出を調べている米民間研究機関グローバル・フィナンシャル・インテグリティーによると、11年の不法資金流出は9467億ドル(約101兆円)に上りました。この10年間で年10%以上伸びています。13年の先進国から途上国への政府開発援助(ODA)は、1348億ドルでした。ODAの7倍もの資金が途上国から不法に流出していることになります。不法流出額は、02年から11年までの累計で5・9兆ドルに達します。
グローバル・フィナンシャル・インテグリティーは犯罪、汚職、そして課税逃れの三つをその要因として挙げ、「不法な資金流出は最も衝撃な経済問題である」と警鐘を鳴らします。
国連の溜基文(パン・ギムン)事務総長は12年2月、スペインで開かれた会合で気候変動や自然災害、格差拡大などの問題を挙げ、これらの問題を解決する上でも不法な資金の流出を抑えることの重要性を強調しました。
多国籍企業と富裕層が富を隠しこんでいる場所こそ、タックスヘイブン(租税回避地)です。基本的特徴は、①全くの無税か名目的な税のみ②機密性が高く透明性に欠けている③実質的な経済活動が行われていない―などです。
税制研究家の合田寛氏は、「タックスヘイブンは、この地球上にグローバルに張り巡らされ、見えない糸でつながっているネットワークだ。グローバル経済の奥に潜み、世界の富を操り、投機マネーがうごめく場となっている。そして、だれも十分に規制することができないでいる」と指摘します。
タックスヘイブンという闇の世界に巨額の資金が流れ込み、緊急に解決が求められている人類的課題への障害が作りだされています。タックスヘイブンは、「まさに、グローバル資本主義の聖域」(合田氏)なのです。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年10月16日付掲載


本来なら途上国で納税されるべき生産活動に対して課税されない。もちろん本国でも課税されない。
巧妙に仕組まれたタックスヘイブン(租税回避地)で、ぬくぬくとしている企業や資産家を規制する必要があります。