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日本共産党兵庫県委員会で働いています。

挫折の日銀② 消費税増税 推進し自滅

2023-03-12 07:15:42 | 経済・産業・中小企業対策など
挫折の日銀② 消費税増税 推進し自滅
日銀の「異次元緩和」が挫折した理由の二つ目は、自公政権が反国民的な税・財政政策をとったことです。
安倍晋三政権は経済政策の「第2の矢」に「機動的な財政政策」を掲げました。しかし自公政権が一貫して財政支出を拡大した分野は軍事です。軍事費(当初予算案)は、2012年度の4兆7138億円から23年度の6兆8219億円へ、2兆1081億円(44・7%)も増えました。
自公政権はまた、法人税を連続的に減税しました。国・地方を合わせた法人税の法定税率(法人実効税率)は、12年度の37%から29・74%(18年度以降)へ引き下げられました。株主配当の原資となる大企業の税引き後当期純利益を増やし、株価を上昇させて大株主の資産を膨張させました。




デフレ圧力さらに
日米の軍事大企業や大株主を優遇する財政支出のしわ寄せを受けたのが国民です。自公政権は2度の消費税増税で年13兆円の実質可処分所得を国民から収奪しました。また、公的年金の支給額を毎年のように削減し、年金受給者から年4兆円の実質可処分所得を奪いました。
実は金融緩和の旗を振った「リフレ派」経済学者の多くは消費税増税に批判的でした。13年3月から日銀副総裁を務めた岩田規久男氏が所信を述べるために出席した衆院議院運営委員会(同月5日)でのことです。
日本共産党の佐々木憲昭議員は消費税増税に反対しつつ、「(過去の国民への増税や負担増が)全体の需要を落ち込ませてデフレ(持続的な物価下落)という事態が生じているのではないか」と尋ねました。これに対して岩田氏は「増税すればますますデフレ圧力が働くということは、おっしゃるとおり」と答えたのです。自著『日銀日記』の中で岩田氏はこのときのやりとりを振り返っています。
「私の経済政策は共産党と真逆のものが多いと思うが、どうやら、消費税増税に関しては意見が一致している」



答弁する黒田東彦日銀総裁=2月6日、衆院予算委

「むしろ減税必要」
岩田氏が消費税増税を懸念した理由は明快です。「3%の消費税増税は消費者物価を2%程度引き上げることによって、実質可処分所得を一時的にではなく、恒久的に減らす要因」だからです。消費を増やすためには「可処分所得を増やす政策が必要」であり、「消費税増税ではなく、むしろ減税が必要だった」とも書いています。
しかし日銀の黒田東彦総裁は、消費税増税を先送りすれば「(金利急騰という)どえらいこと」(13年9月7日付「日経」)が起こるリスクがあると発言し、増税を後押ししました。自公政権は消費税率を14年4月に8%へ、19年10月に10%へ引き上げて実質GDP(国内総生産)を大きく落ち込ませました。
黒田氏の「どえらいリスク」発言について岩田氏は『日銀日記』で「日銀総裁としての矩(のり)をこえた」と指摘。経済にブレーキをかければ「デフレ脱却は夢と化す」と、消費税増税推進派を痛烈に批判しています。
結局のところ、自公政権と黒田日銀が手を携えて進めたアベノミクスは、国民生活を犠牲にして大株主の利益を増やす新自由主義の政策に帰着し、自滅したといえます。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年3月8日付掲載


日米の軍事大企業や大株主を優遇する財政支出のしわ寄せを受けたのが国民。自公政権は2度の消費税増税で年13兆円の実質可処分所得を国民から収奪。また、公的年金の支給額を毎年のように削減し、年金受給者から年4兆円の実質可処分所得を奪う。
13年3月から日銀副総裁を務めた岩田規久男氏。消費を増やすためには「可処分所得を増やす政策が必要」であり、「消費税増税ではなく、むしろ減税が必要だった」と。
でも、実際は減税は実行されず、日本経済は自滅へ。