年金定期便が誕生月に届きます。確認の仕方の紹介です。
社会保険庁は今月から、年金加入者の誕生月に「ねんきん定期便」を送り始めました。対象者は約7千万人です。これまでの「ねんきん特別便」との違い、確認してほしいポイントを、年金コンサルタントで社会保険労務士の長谷川陽子さんに聞きました。
坂本健吾記者
オレンジの封筒に注意
誕生月に届く「ねんきん定期便」(1日生まれの人は前月)は、加入歴や将来の年金見込み額などを知らせ、記録の確認を促します。
封筒は「特別便」より大きいA4判。オレンジ色か空色です。
「特にオレンジ色の封筒が届いたら、必ず自分の年金記録を確認してください」と長谷川さん。
「記録の漏れや間違いがある可能性が大変高い。封筒の中にはそのヒントになるデータが同封されています」
オレンジ色の封筒には、その人のものである可能性は高いが、いまは宙に浮いている年金記録(年金の種類や加入していた期間を載せたもの)が同封されています。
この記録を見て専用ダイヤル0570(058)555に問い合わせれば、厚生年金の場合なら思い出せるよう会社名まで教えてくれます。
4月に送付する「定期便」は約558万通で、このうちオレンジ色の封筒は約24万通です。
国民年金の場合は
「定期便」には、「特別便」にはなかった情報が入っています。
「これまでの年金加入履歴」の資料には、国民年金の加入期間のうち、保険料の未納月数が示されています。
未納月数が多いと、受け取る年金額が減ってしまいます。保険料を払ったのに「未納」とされている場合もあるので、記録と自分の記憶を突き合わせて確認しましょう。
「定期便」には、確認に役立つ資料を同封しています。「これまでの国民年金保険料の納付状況」です。年月ごとに、保険料「納付済」「未納」などと書かれています。
「月別の納付状況を見れば、どこが未納になっているのか分かります。保険料を払ったのに未納になっている場合、いつのことか探しやすくなりました」と長谷川さん。
月別納付状況のうち、「未納」(保険料を納めていない)、「半未」(半額免除されているが残り半額を納めていない)など、「未」となっている所を探します。
“自分の記憶では、その年月の保険料は納めたはず”という場合、「回答票」に記入して返送すれば、社会保険庁の記録を調べて見つかるときもあります。見つからない場合、総務省の年金記録確認第三者委員会に申し立てることができます。
厚生年金の場合は
厚生年金の加入者には「標準報酬月額と保険料納付額の月別状況」の資料(左上)を同封しています。
標準報酬月額というのは、給与の支払い総額に相当する額のことです。
基本給ではなく、残業代や手当、交通費なども含みます。標準報酬月額は、受け取る年金額を計算するもとになります。
まず、「理由が思い当たらないのに標準報酬月額が大幅ダウンしている月がないかを見ます」と長谷川さん。
転職や役職定年、育児休業明けの短時間勤務などのような給与が下がった時期ではないのに、標準報酬月額が大幅に下がっている場合です。
同じ会社に勤めていたのに、標準報酬月額の記録が抜けているなど「思い当たらない空白」がある場合も要注意です。
どちらの場合も、回答票に記入して返送し、調べてもらいましょう。
給与明細があれば標準報酬月額と突き合わせましょう。ただし、標準報酬月額は毎年一定の時期の給与をもとに定期的に決めるため、給与明細の月と標準報酬月額の月は必ずしも一致しません。
受給者にも
「定期便」は年金加入者を対象にしています。
しかし、標準報酬月額の記録改ざんは、すでに年金を受け取っている受給者にもかかわります。
社保庁の調査でも、改ざんのケースとして①標準報酬月額を引き下げた日か翌日に厚生年金から脱退②5ランク以上さかのぼって標準報酬月額を引き下げた③6カ月以上さかのぼって標準報酬月額を引き下げた-の三つで約108万件(重複分を除く)あります。
そこで、社保庁は、年金受給者にも、標準報酬月額に関する通知を年内に始めるとしています。
全記録は今年度だけ
09年度の「定期便」は、すべての年金加入記録が届きますが、10年度からは最近1年間の記録になります。すべての記録が届くのは、35、45、58歳のときだけです。
【しんぶん赤旗日曜版 2009年4月19日号より転載】
社会保険庁は今月から、年金加入者の誕生月に「ねんきん定期便」を送り始めました。対象者は約7千万人です。これまでの「ねんきん特別便」との違い、確認してほしいポイントを、年金コンサルタントで社会保険労務士の長谷川陽子さんに聞きました。
坂本健吾記者
オレンジの封筒に注意
誕生月に届く「ねんきん定期便」(1日生まれの人は前月)は、加入歴や将来の年金見込み額などを知らせ、記録の確認を促します。
封筒は「特別便」より大きいA4判。オレンジ色か空色です。
「特にオレンジ色の封筒が届いたら、必ず自分の年金記録を確認してください」と長谷川さん。
「記録の漏れや間違いがある可能性が大変高い。封筒の中にはそのヒントになるデータが同封されています」
オレンジ色の封筒には、その人のものである可能性は高いが、いまは宙に浮いている年金記録(年金の種類や加入していた期間を載せたもの)が同封されています。
この記録を見て専用ダイヤル0570(058)555に問い合わせれば、厚生年金の場合なら思い出せるよう会社名まで教えてくれます。
4月に送付する「定期便」は約558万通で、このうちオレンジ色の封筒は約24万通です。
国民年金の場合は
「定期便」には、「特別便」にはなかった情報が入っています。
「これまでの年金加入履歴」の資料には、国民年金の加入期間のうち、保険料の未納月数が示されています。
未納月数が多いと、受け取る年金額が減ってしまいます。保険料を払ったのに「未納」とされている場合もあるので、記録と自分の記憶を突き合わせて確認しましょう。
「定期便」には、確認に役立つ資料を同封しています。「これまでの国民年金保険料の納付状況」です。年月ごとに、保険料「納付済」「未納」などと書かれています。
「月別の納付状況を見れば、どこが未納になっているのか分かります。保険料を払ったのに未納になっている場合、いつのことか探しやすくなりました」と長谷川さん。
月別納付状況のうち、「未納」(保険料を納めていない)、「半未」(半額免除されているが残り半額を納めていない)など、「未」となっている所を探します。
“自分の記憶では、その年月の保険料は納めたはず”という場合、「回答票」に記入して返送すれば、社会保険庁の記録を調べて見つかるときもあります。見つからない場合、総務省の年金記録確認第三者委員会に申し立てることができます。
厚生年金の場合は
厚生年金の加入者には「標準報酬月額と保険料納付額の月別状況」の資料(左上)を同封しています。
標準報酬月額というのは、給与の支払い総額に相当する額のことです。
基本給ではなく、残業代や手当、交通費なども含みます。標準報酬月額は、受け取る年金額を計算するもとになります。
まず、「理由が思い当たらないのに標準報酬月額が大幅ダウンしている月がないかを見ます」と長谷川さん。
転職や役職定年、育児休業明けの短時間勤務などのような給与が下がった時期ではないのに、標準報酬月額が大幅に下がっている場合です。
同じ会社に勤めていたのに、標準報酬月額の記録が抜けているなど「思い当たらない空白」がある場合も要注意です。
どちらの場合も、回答票に記入して返送し、調べてもらいましょう。
給与明細があれば標準報酬月額と突き合わせましょう。ただし、標準報酬月額は毎年一定の時期の給与をもとに定期的に決めるため、給与明細の月と標準報酬月額の月は必ずしも一致しません。
受給者にも
「定期便」は年金加入者を対象にしています。
しかし、標準報酬月額の記録改ざんは、すでに年金を受け取っている受給者にもかかわります。
社保庁の調査でも、改ざんのケースとして①標準報酬月額を引き下げた日か翌日に厚生年金から脱退②5ランク以上さかのぼって標準報酬月額を引き下げた③6カ月以上さかのぼって標準報酬月額を引き下げた-の三つで約108万件(重複分を除く)あります。
そこで、社保庁は、年金受給者にも、標準報酬月額に関する通知を年内に始めるとしています。
全記録は今年度だけ
09年度の「定期便」は、すべての年金加入記録が届きますが、10年度からは最近1年間の記録になります。すべての記録が届くのは、35、45、58歳のときだけです。
【しんぶん赤旗日曜版 2009年4月19日号より転載】
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