福島県 飯館村 今とこれから① 80%未除染 8割の人戻らず
飯舘村(いいたてむら)
東京電力福島第1原発の北西にあり、2011年3月の原発事故後1カ月以上たってから全村避難し、現在も一部地域が帰還困難区域です。
2011年3月の東京電力福島第1原発事故後、福島県飯舘村に、住民と研究者が放射能の影響を調査し、どう向き合えばいいのか議論を重ねている「飯舘村放射能エコロジー研究会(IISORA)」があります。
11月3日、4年半ぶりに開かれたシンポジウムで、現状が報告されました。
研究者と市民が同じデープルで話し合うIISORAのシンポジウム=13日、福島県飯舘村
二重生活
「村の80%は除染ができていない。そんななか、8割の人が戻っていない」と現状を話すのは、村で生まれ育った菅野哲(ひろし)さん(75)。「村が原発事故によってどうなったのか、きちんと総括することが大事」だと訴えました。「避難せざるを得なくなり、いま、村人たちの基本的人権が回復されているのだろうか」と問いかけます。
国と東電を相手に損害賠償請求訴訟の原告としてたたかっているなかで「今の生活のほうがいいのではないのか」などという言葉が東電側から出てくることに怒りをあらわにします。
村の森林を守り、60歳の区切りとして農業を再開したばかりでした。避難解除後、菅野さんは避難先と村の二重生活に。「美しい自然が壊され、あちこちに輝く田んぼが除染土とソーラーパネルにかわってしまった。家族が、村のコミュニティーが、ばらばらになってしまった」と訴えました。
伊丹沢地区の行政区長の山田登さんは帰還者の多くが高齢者で10年、20年後どうなっていくのかと先行き不透明な状況を話しました。サルが地域を席巻している問題、消防団の維持、空き家問題、除染後の住宅取り壊し…。それでも猿防除モデル地区に手をあげたり、パークゴルフで懇親会などに取り組んできたことを報告しました。
福島県飯舘村は75%が森林です
医療は…
村唯一の診療所「いいたてクリニック」の医師、本田徹さんは2年ほど前、村に移住。週2日の診療以外に、訪問診療に力を入れています。震災前は社会福祉協議会が独自にヘルパーステーションを運営していたそうですが「村でとくに不足しているのは在宅介護の人材」といいます。
国は避難指示地域などに住んでいた人を対象に減免している医療費等の支援を段階的に縮小し、一部地域を除いて2027年度までに終了するとしています。
福島県内の医療について兵庫医科大学の非常勤講師、振津かつみさんは「高齢者はますます介護や医療が必要になってくるのに、支援を切るのは影響が大きすぎる」と訴えます。「2021年の『黒い雨』被爆者訴訟の判決にあったとおり、被ばくを強いられた人すべてに国の責任で無料の健康診断や医療支援など、権利をともなう『健康手帳』を交付するなど、被爆者援護法に準じた法整備が必要」と訴えました。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年11月20日付掲載
「村の80%は除染ができていない。そんななか、8割の人が戻っていない」と現状を話すのは、村で生まれ育った菅野哲(ひろし)さん(75)。「村が原発事故によってどうなったのか、きちんと総括することが大事」だと訴え。
避難解除後、菅野さんは避難先と村の二重生活に。「美しい自然が壊され、あちこちに輝く田んぼが除染土とソーラーパネルにかわってしまった。家族が、村のコミュニティーが、ばらばらになってしまった」と訴え。
飯舘村(いいたてむら)
東京電力福島第1原発の北西にあり、2011年3月の原発事故後1カ月以上たってから全村避難し、現在も一部地域が帰還困難区域です。
2011年3月の東京電力福島第1原発事故後、福島県飯舘村に、住民と研究者が放射能の影響を調査し、どう向き合えばいいのか議論を重ねている「飯舘村放射能エコロジー研究会(IISORA)」があります。
11月3日、4年半ぶりに開かれたシンポジウムで、現状が報告されました。
研究者と市民が同じデープルで話し合うIISORAのシンポジウム=13日、福島県飯舘村
二重生活
「村の80%は除染ができていない。そんななか、8割の人が戻っていない」と現状を話すのは、村で生まれ育った菅野哲(ひろし)さん(75)。「村が原発事故によってどうなったのか、きちんと総括することが大事」だと訴えました。「避難せざるを得なくなり、いま、村人たちの基本的人権が回復されているのだろうか」と問いかけます。
国と東電を相手に損害賠償請求訴訟の原告としてたたかっているなかで「今の生活のほうがいいのではないのか」などという言葉が東電側から出てくることに怒りをあらわにします。
村の森林を守り、60歳の区切りとして農業を再開したばかりでした。避難解除後、菅野さんは避難先と村の二重生活に。「美しい自然が壊され、あちこちに輝く田んぼが除染土とソーラーパネルにかわってしまった。家族が、村のコミュニティーが、ばらばらになってしまった」と訴えました。
伊丹沢地区の行政区長の山田登さんは帰還者の多くが高齢者で10年、20年後どうなっていくのかと先行き不透明な状況を話しました。サルが地域を席巻している問題、消防団の維持、空き家問題、除染後の住宅取り壊し…。それでも猿防除モデル地区に手をあげたり、パークゴルフで懇親会などに取り組んできたことを報告しました。
福島県飯舘村は75%が森林です
医療は…
村唯一の診療所「いいたてクリニック」の医師、本田徹さんは2年ほど前、村に移住。週2日の診療以外に、訪問診療に力を入れています。震災前は社会福祉協議会が独自にヘルパーステーションを運営していたそうですが「村でとくに不足しているのは在宅介護の人材」といいます。
国は避難指示地域などに住んでいた人を対象に減免している医療費等の支援を段階的に縮小し、一部地域を除いて2027年度までに終了するとしています。
福島県内の医療について兵庫医科大学の非常勤講師、振津かつみさんは「高齢者はますます介護や医療が必要になってくるのに、支援を切るのは影響が大きすぎる」と訴えます。「2021年の『黒い雨』被爆者訴訟の判決にあったとおり、被ばくを強いられた人すべてに国の責任で無料の健康診断や医療支援など、権利をともなう『健康手帳』を交付するなど、被爆者援護法に準じた法整備が必要」と訴えました。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年11月20日付掲載
「村の80%は除染ができていない。そんななか、8割の人が戻っていない」と現状を話すのは、村で生まれ育った菅野哲(ひろし)さん(75)。「村が原発事故によってどうなったのか、きちんと総括することが大事」だと訴え。
避難解除後、菅野さんは避難先と村の二重生活に。「美しい自然が壊され、あちこちに輝く田んぼが除染土とソーラーパネルにかわってしまった。家族が、村のコミュニティーが、ばらばらになってしまった」と訴え。
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